(ニューヨーク)---子ども兵士の採用を終了させる取り組みは、進展はしているものの、ほとんどの子どもにとってはあまりにも少なく、あまりにも遅い。「子ども兵士の徴用廃止を目指す連合」(the Coalition to Stop the Use of Child Soldiers)は本日発表した子ども兵士に関するグローバル・レポート2008でこのように述べた。

本レポートは、子どもを兵士として使うべきではないとするほぼ世界的な合意があり、かつ、国連をはじめとした国際社会が子ども兵士採用の動きをやめさせようと多大な努力をしているにもかかわらず、なぜ、何万人もの子どもたちを戦争から守れていないのか詳述する。武力紛争が存在する限り、子どもたちは必ずといってよいほど兵士として巻き込まれてしまっている。

本レポートは、世界190ヵ国における有事・平時の軍隊での子ども兵士の採用に関する法律、政策、実務並びに非政府武装組織子ども兵士の使用について記録している。

「子ども兵士採用の惨禍を終わらせようとする国際社会の意思はあるものの、これまでのところ、その努力は失敗に終わっている。」子ども兵士の徴用廃止を目指す連合のディレクター、ビクトリア・フォーブス・アダムはこのように述べた。「法律、政策、実務は、今こそ、子ども達が今後二度と武力紛争に巻き込まれないという現実の実現へつながらなければならない。」

この4年間で、進歩も見られる。子ども兵士の徴用廃止を目指す連合の調査は、子どもが関与した武力紛争の数が、2004年の27件から、2007年には17件と減少したことを示している。サハラ以南のアフリカなどの地域での長期紛争の終焉に伴い、この間、数万人もの子ども達が軍隊から解放されたのだ。

しかし、本レポートはまた、いまだに数万人もの子ども達が、少なくとも24ヵ国・地域の非政府武装組織の中に残されていることを示している。政府による採用数にも、あまり改善は見られない。9件の武力紛争で、政府軍が子ども兵士を使用しているが、これは前回のグローバル・レポート(2004年発表)の10件から、わずか1件しか減少していない。

「既存の努力は、目指した効果をもたらしていない」フォーブス・アダムはこのように述べた。「さらなる進展があるとすれば、子ども兵士は子どもの権利の専門家の問題というだけでなく、紛争予防・解決、平和構築、開発に関わる全ての者にとっての課題であることが認識されなければならない。」

ミャンマーは、未だに、各国政府の中で、最も頑強な法違反者のままである。政府軍は、多くの反政府民族武装組織と長い間交戦状態にあるが、いまだに数千~数万人もの(中には11歳の子どももいる)子ども兵士を抱えている。また、チャド、コンゴ民主共和国、ソマリア、スーダン、ウガンダ、イエメンでも、政府軍が子どもを使用している。パレスチナの子どもたちは、イスラエル国軍に人間の盾として何度も使用されており、また2005年中頃まで、18歳未満のイギリス人数名がイラクで展開していた。

各国政府の国際法上の義務の違反は、これにとどまらない。少なくとも14ヵ国において、子どもたちは国軍関連の補助部隊、当該国の反政府勢力に対抗するための市民防衛軍、または国軍の代理として組織された非合法の民兵や武装組織によって採用されている。

子どもたちはまた、スパイとしても使用されている。国によっては、政府軍へと脱走・投降したり、政府軍に捕獲されたりした子ども兵士は、家族や地域社会のもとに帰るための支援を受けるのではなくて、拘留されることもある。武装組織に関わっていたとされる子どもたちを拘留して虐待・拷問した疑惑がある国の中には、ブルンジ、イスラエル、米国などもある。

「子どもたちが武力紛争に巻き込まれることを阻止するのは政府の義務である。よって、いかなる国も、武装組織が、違法に軍事目的で子どもを使用したり、子どもに対するその他の人権侵害を行うことは、絶対に許されない。」フォーブス・アダムはこのように述べた。

また、少なくとも18の国又は地域で、武装組織が子どもを戦闘に使用している。その中には12歳以下の子どもも含まれ、死や負傷、精神的トラウマなどにさらされてきた。アフガニスタン、イラク、パレスチナ占領地区、パキスタンでは、十代の子どもが自爆テロに使われていた。

「武装組織は、最大の問題だ」フォーブス・アダムはこのように述べた。「国際法は、武装組織が子ども兵士を使用するのを阻止するのには、限られた効力しかない。武装組織の多くは国際基準を軽視し、戦闘力を高めることが最重要事項とされ、他のことには関心を払わない。この現実を直視し、新たな方策を講じるべきだ。」

「子ども兵士の徴用廃止を目指す連合」のレポートはまた、武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)プログラムの計画・実行に関わる人々が、戦闘部隊から子どもたちを解放したり、社会復帰させたりした長年の活動の中でのベスト・プラクティスの数々を見過ごしていると強調する。また、元子ども兵士に対する長い間の支援を支える持続的な資金はめったに得られない。例えばコンゴ民主共和国では、資金が遅れがちで予測がつかない短期的なものであったに加えて、DDRプログラムの計画が不十分で管理も不適切だったため、1万4千人もの元子ども兵士たちが社会復帰のサポートを受けられなかった。

少女たちは、特に不利な立場にある。戦闘部隊に少女たちがいて、戦闘の中及び戦闘以外の場面でも、それぞれの役割を担わされ、性的奴隷、レイプ、その他性的暴力の犠牲になっていることはよく知られている。しかし、少女兵士のほとんどを、DDRプログラムは把握しておらず、公的DDRプログラムにも登録されてはいない。リベリアでのDDRプログラムは2004年後半に終了したが、戦闘部隊に関わっていたとされる1万1千人の少女のうち、公的DDRプログラムに登録されていたのは、4分の1少しだけだった。他と地域と同様ここでも、数千人もの少女が自分の属していた社会に、医療的・精神的・経済的な複雑なニーズが満たされないままに、ひっそりと帰還していた。

「数万人もの子どもたち、特に少女たちは、武装解除や社会復帰の過程で、事実上、無視されている」フォーブス・アダムはこのように述べた。「彼女たちのニーズや脆弱性が認識されていないのではなく、ただ、以前の経験が生かされておらず、それが子どもたちと将来を損なう結果となっているのだ。」

平時の武力としての18歳未満の子どもの採用が引き続き行われており、これが、子ども兵士の採用や戦闘行為への参加を禁止するグローバル・スタンダードへの進展を妨げている。18歳を成人とする国が多い中で、少なくとも63の政府(英国、米国を含む)が、18歳未満の子どもの軍への自発的参加を認めている。投票したり酒を買うには若すぎるとみなされる若い新兵が、軍律に従い、危険行為にさらされ、虐待を受けやすい立場におかれている。貧困を背景に持つ子どもをターゲットとしてしばしば採用が行われている。これは、その政府が、子どもの保護の責務をどの程度認識しているか、軍隊への参加が本当に自発的なものなのかについて疑問を投げかける。

「2012年は、子ども兵士に関する国際条約ができて10年目にあたる」フォーブス・アダムはこのように述べた。「今後4年間に、国際社会は、武力紛争での子どもの使用を終わらせるという公約を履行すべきだ。」

背景

子ども兵士に関するグローバルレポート2008は、2004年4月から2007年10月までの期間を対象としている。197カ国を対象にし、子ども兵士の採用と使用、解放と社会復帰活動、法の正義についての活動等についての詳しい情報を載せている。

「子ども兵士の徴用廃止を目指す連合」は、1998年、主要な人権・人道機関で作られ、子ども兵士(18歳未満の少年少女)の使用の禁止、採用の阻止、武装組織からの解放、市民生活への復帰の促進に取り組んでいる。同連合は多くの地域で、各地の非政府組織(NGO)等の協力団体と共に活動している。