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【写真】東京2020大会組織委員会理事会(東京、2020年3月30日)で挨拶する森喜朗会長 © 2020 Issei Kato/Pool Photo via AP

五輪では、スポーツが「男女平等を促進し、成人および未成年の女性をエンパワーメントする最も強力なプラットフォームの一つである」とよくいわれています。しかし、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長である森喜朗元首相の立場といえば、日本オリンピック委員会(JOC)の女性理事比率を引き上げるというJOCの方針に対して、「女性は話が長すぎる」というものでした。

報道によれば、森会長は2021年2月3日、JOC臨時評議員会で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります。(…)女性を必ずしも増やしていく場合は、発言の時間をある程度規制をしておかないとなかなか終わらないから困る(…)そんなこともあります」と発言しました。そして「私どもの組織委員会にも、女性は何人いますか、7人くらいおられますが、みんなわきまえておられます」と付け足しました。

日本オリンピック委員会(JOC)、および森氏が会長を務める東京オリンピック・パラリンピック組織委員会には、ジェンダー平等そしてスポーツにおけるアスリートへの人権侵害の撤廃に向けた重要な役割があります。日本では各競技団体における女性理事の割合がかなり低い状態が続いており、ヒューマン・ライツ・ウォッチは昨年7月、日本のスポーツ界で子ども(女子を含む)の虐待が根強くあると明らかにする調査報告書を発表しました。

世界的に「#MeToo」の動きが強まっています。日本でも女性アスリートから、体操や水泳、レスリングなどでハラスメント等の訴えがあります。レスリングで元五輪代表の伊調馨さんは、四大会連続で金メダルを獲得しましたが、その後、パワーハラスメントを行った強化本部長を辞めさせるために、日本レスリング協会と争わなければなりませんでした。

差別や性暴力を訴える日本の女性たちは、深刻なスティグマに直面しています。政府の統計資料によると 、性暴力事件の95%以上が警察に届けられていません。その理由には、レイプを話題にすることが日本では「恥ずかしい」と思われていることや、警察に行ってもむだだと考える被害者が多いことなどが挙げられます。

日本の司法制度は性暴力サバイバーにとって過酷なものです。女性(トランスジェンダー女性含む)は厳しい壁に直面します。そして女性が結婚後も元の姓をそのまま使おうことにさえ障壁があります 。2018年には、複数の有名医科大学が、女性の合格者数を抑えるために入試結果を操作したことを認めました。

国際オリンピック委員会(IOC)は、開催地が性差別を含めた「あらゆる形態の差別を禁止しなければならない」と定めています。森氏の発言は、日本政府がこうした女性差別・蔑視問題について早急に改革に乗り出すべきことを示しています。その第一歩としてまずスポーツ界から取り組むことも重要ではないでしょうか。

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