(ニューヨーク)朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)政府は、同国の劣悪な人権状況に終止符を打つ、実効性のある改革を直ちに行うべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチほか世界300以上の非政府組織(NGO)が、北朝鮮の金正恩労働党委員長宛の本日付書簡で述べた。
「北朝鮮が他国との対話姿勢を強めていること自体は良い兆候だが、世界はいったん冷静になり、金委員長が世界でおそらく最も抑圧的な体制の支配者であることを思い起こすべきだ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムズは指摘した。「国連安全保障理事会が認めるように、北朝鮮国内の人権侵害と、北朝鮮がもたらす国際社会の平和と安全保障上の脅威との間には緊密な関係がある。安全保障に関する議論の際にはかならず人権問題も話題にすべきだ。」
今回の書簡はアジア、ラテンアメリカ、アフリカ、ヨーロッパ、北米の300以上のNGOを代表する52の団体・連合体が署名したものであり、金委員長に次のことを求めている。
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•国連が行ってきた人権関連の勧告に基づき行動すること
•国際人権システムへの関与を深めること
•重要な2014年の国連調査委員会の調査結果に応答し、それに基づく行動をとること
•収容施設や刑務所での強制労働を含む人権侵害を停止すること
•あらゆる国籍者について、北朝鮮国内の家族・親戚との定期的な再会を実現すること
•国際社会からの人道援助について、困窮する人びとやコミュニティにそうした援助を実際に届けるための適切なモニタリングとあわせて受け入れること
2018年4月の「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」で、金委員長は「各界各層の多方面の協力と交流、往来と接触の活性化」、「民族分断により発生した人道問題の早急な解決」、「均衡の取れた発展と協働繁栄の実現」を通じ、南北関係を改善することを公約した。
「金委員長は国際的な政治家の仲間入りを試みているところだ。しかしその努力は、『世界最大の開放型監獄』と呼ばれてきた国の支配者にとどまり続ける限り、挫折するであろう」と、前出のアダムズ局長は述べた。「金委員長が北朝鮮の国際社会からの孤立を本当に終わらせたいのならば、強固で迅速な行動をとり、北朝鮮国民と世界に対し、何十年にもわたる人権侵害に終止符を打つことへのコミットメントを示すことこそが求められているのである。」