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五輪:人権尊重のオリンピック開催地選考を求める新同盟 設立される

国際五輪委の基準は「努力義務」ではなく、拘束力ある義務にすべき

(ベルリン)— すべての五輪開催国は労働者の権利・報道の自由の保障などの人権を保障するとともに、五輪の準備・開催中の汚職禁止措置を確実に実施すべきだ、と新しく設立された「スポーツ&ライツ・アライアンス(以下SRA)」同盟は、本日述べた。本書簡は、国際オリンピック委員会(以下IOC)が今週開催する重要会合に向けて出された。

IOC執行委員会は2月26日〜28日までリオデジャネイロに集まり、「五輪アジェンダ2020:未来のオリンピック・ムーブメントのための戦略的指針」の実施方法を議論することになっている。IOCが2014年12月に採択したこのアジェンダは、五輪開催国に差別禁止措置および労働基準の遵守や透明性の改善、良い統治(グッド・ガバナンス)の推進を義務づける内容。

トーマス・バッハIOC会長宛のこの書簡は、「重要な競技大会の際に、設備建設のための地域住民の強制退去や労働者の搾取、活動家の身柄拘束、修復不能な環境破壊、極めて不透明な招致活動などがあまりにも多くみられた」と指摘。「五輪アジェンダ2020の勧告は、こうした現状を打破して人権を保障するチャンスだ。環境保全および反汚職措置は、五輪大会開催までの全行程(招致から準備、開催段階、その後の最終報告に至るまで)における中核だ」とする。

今回書簡を出したSRAは、世界各地の重要な人権団体・競技団体・労働組合により新たに設立された。メンバーは、アムネスティ・インターナショナル、国際プロサッカー選手会(FIFPro:国際選手組合)、フットボール・サポーター・ヨーロッパ、ヒューマン・ライツ・ウォッチ、国際労働組合総連合(ITUC)、サポーター・ダイレクト・ヨーロッパ、テレ・ディ・ゾム、およびトランスペアレンシー・インターナショナル・ドイツなど。RSAの目的は、大規模スポーツ大会の誘致から建設・準備、そして開催までの全行程で、人権(子どもの権利や労働者の権利など)、環境そして反汚職措置をしっかり守らせることだ。

2024年五輪開催都市の立候補受付が今年9月に締め切られることや、第1回欧州競技大会(ユーロリンピック)がアゼルバイジャンのバクーで今年6月に開催されることをにらみ、SRAの設立にはこの時期が選ばれた。RSAメンバー団体のひとつ、アムネスティ・インターナショナルによると、アゼルバイジャンには「良心の囚人」が少なくとも20人存在するという。政府を批判して、ここ数ヶ月の間に不当に拘束・投獄された人は数十人に及び、中には著名なジャーナリストや人権活動家も含まれる。

SRAがIOCに対して働きかけを行っているのは、2014年ソチ冬季五輪の準備期間における、ロシア政府によるLGBTおよび労働者の権利、強制退去、環境保護、表現の自由に関する問題や、2016年リオ五輪を控えたブラジルの強制退去問題、ならびに近時の国際/国内競技連盟関連の複数の汚職疑惑問題などがあったことをふまえたもの。そのほかにも、2022年ワールドカップ・カタール大会のインフラ整備に関する出稼ぎ労働者の権利侵害や、昨年のブラジル大会における反ワールドカップ抗議デモの際の警察による暴力行為なども、議論をよんでいる。

2024年五輪はもちろん、その後の五輪大会すべてが「競技自体の栄光のみならず、オリンピック憲章の真の体現と称えられるよう」、SRAはIOCに対し、2024年五輪開催都市の誘致条件及び開催契約に「結社の自由に関する労働・人権基準、団体交渉権、雇用差別からの保護、強制労働・児童労働の根絶」含めるよう提言。

またSRAはIOCに対し「準備・開催過程において、五輪に関連した人権侵害が発生したり、人権状況が悪化したりすることが決してないよう、しっかりしたデューデリジエンス手続き」を採用するよう求めている。

これらすべての基準は、努力義務ではなく、全ステークホルダーに対する例外なき義務とすべきである。加えてIOCは、誘致活動の過程でなされた公約・開催都市契約内の約束が、大会の全行程で遵守されているかを当初よりモニタリングする、独立したメカニズムの設置に着手すべきである。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのグローバル・イニシアチブ部長ミンキー・ワーデンは、「北京五輪とソチ冬季五輪では、出稼ぎ労働者の搾取や反体制派の弾圧、そして汚職が、スポーツに暗い影を落とした」と指摘。「IOCは今後の開催候補国に、人権侵害や腐敗、弾圧行為はオリンピック・ムーブメントには、絶対に受け入れられないと伝えるべき、大事な時期を迎えている。」

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