Members of the Free Syrian Army walk with new youth recruits during a military training in the northern Syrian town of Ras al-Ain, on November 24, 2012.

© 2012 Reuters 

(ニューヨーク)-シリア紛争の中で反政府武装勢力が、戦闘などの軍事目的で少年兵を使っている、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日告発した。14歳くらいの子どもたちが、反政府勢力の少なくとも3部隊で軍務に就いて武器の輸送・供給や監視員活動に従事している。また、16歳くらいの子どもたちが、武器をとって政府軍との戦闘行為に参加している。反政府勢力の指揮官らは、子どもを軍務に就かせることを止めると共に、たとえ志願者であっても18歳未満の使用を禁止すると宣言するべきである。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは14歳から16歳までの少年5人に聞き取りを行った。5人は、ホムス、ダラー両県や、トルコ国境近いイドリブ各県にある小さな町フルバトゥッジョーズで、反政府武装勢力に協力したと話す。このうち、16歳の少年3人は武器を携行していると話し、1人は軍事訓練を受けて攻撃作戦に参加したと話していた。14歳と15歳の少年2人は、他の少年と一緒に、偵察や武器及び物資の輸送で、反政府勢力部隊を支援していたと話していた。さらにヒューマン・ライツ・ウォッチは、18歳未満の息子が戦うためにシリアに留まっているという、シリア人の親3人からも話をきいた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの子どもの権利局調査員プリヤンカ・モタパルスィは「世界の目は反政府勢力に注目している。反政府勢力は、子どもを弾丸や爆弾から守ろうとしているのであり、逆に危険にさらそうとしているのではない、と示すべきだ」と語る。「反政府軍指揮官らが子どもを守る最善の方法の1つは、部隊内での子どもの使用禁止を固く誓うと共に、入隊を許す前に入隊者の年齢を確認することだ。」

聞き取り調査に応じた少年のなかには、兄や家族と共に闘うのを志願したと話す者もいた。その他は反政府軍兵士から闘いに参加するよう頼まれたと話した。いずれにせよ2003年にシリアが締約国になった「武力紛争における子どもの関与に関する子どもの権利に関する条約の選択議定書」は、「国の軍隊とは異なる武装集団は、いかなる状況においても、18歳未満の者を徴募しまたは敵対行為において使用してはならない」と規定している。

シリアの反体制監視団体である「シリア違反記録センター」(Syria Violations Documenting Center)は、自由シリア軍と共に闘って死亡した、少なくとも17人の子どもについての調査結果を取りまとめている。その他にも多数が重傷を負い、中には回復不可能な障害を負った子どももいる。

人権と国際人道法の尊重を推進する活動規則を反政府武装勢力にも採用・執行させる取り組みが現在進行中であるが、その中には、子どもを武装紛争に参加させないことを明確化した規定も盛り込むべきである。

ホムス県カリディヤ出身の「マジド」は16歳の少年。シリア国内で戦闘任務に参加していたとヒューマン・ライツ・ウォッチに話した。「ボクはよくカラシニコフを持ってました・・・検問所に向けてよく撃ってました・・・[敵を]捕まえて、武器を奪うためです。」 マジドの部隊には2,000人以上の戦闘員がいたといい、そこで戦闘訓練を受けたとも話した。「銃の撃ち方や、分解・組み立ての仕方、狙い方を僕たちに教えたんです。」彼によれば、兄や他の親戚の者と一緒に志願したのだそうだ。

ダラー県出身の「ハイザム」と「カシム」は、現在隣国ヨルダンで生活している16歳の少年。攻撃には参加せず訓練も受けなかったが、地元の部隊に志願して入隊はしたとヒューマン・ライツ・ウォッチに話した。「自由シリア軍は僕たちに銃をくれただけで、何の訓練もなかったです」とカシムは自由シリア軍に触れた。「僕たちはカラシニコフ(突撃銃)を持ってましたが、弾は30発だけだったんです。僕は偵察をやって、夜は村を守ってました。誰かが来たら、それを他の人に知らせるんです・・・[でも]僕たちは若すぎたので、その任務を続けられなかったんです。」

「[自由シリア軍は]16歳以上の子どもを受け入れています。自由シリア軍は、[戦闘に勝つ]大きなプレッシャーの下にあるんです」とカシムは話していた。自由シリア軍は年齢にかかわらず子どもを入隊させていたようだ、とホムス出身のマジドも語った。「任務はその人によるんです。その人に度胸があれば、自由シリア軍は検問所での戦闘に出します。」マジドは数ヶ月の間、戦闘任務に就いたが、最終的には指揮官から年齢を理由に、戦闘部隊から離れるよう言われたそうだ。「我々はもう少し年齢が上の男を必要としている。君は若すぎる」と自由シリア軍は言ったそうだ。

14歳の「ラエド」は、トルコ国境近くのフルバトゥッジョーズにいる反政府戦闘員のために、武器や食糧その他の物資を運ぶ任務についていたと話していた。ラエドと彼の兄は、シリア北部の故郷の街が攻撃されるようになってから、国境で野外生活をしていた。彼によると、戦闘員たちは、国境を越えて物資を運ぶのを手伝ってほしいと彼に頼んできたのだそうだ。

「僕たちは、トルコから物資・・・武器を運んで自由シリア軍を助けてました。弾とルシエッツ[カラシニコフ突撃銃のこと]を運んでたんです。子どもがみんなそうやって助けてました。14歳から18歳までの少年が10人いました。自由シリア軍にいる男の人たちも知ってるし、あの人たちがそうやって助けてほしいって頼んだんです。僕はそれを4ヶ月か5ヶ月やってました。」

ラエドと兄は国境地帯の自由シリア軍戦闘員の一団の近くに野宿していたが、そこに2012年6月、政府軍部隊は攻撃を開始した。「お祖父ちゃんとお祖母ちゃんは家にいたんだけど、僕たちは自由シリア軍と一緒に国境にいたんです。撃たれたのは、僕が国境で寝た、初めての日でした。撃たれた時は、走って逃げてて、だから後ろから撃たれたんです。政府軍は100m位離れた所にいました。」 ラエドはトルコで治療を受けたが、負傷が原因で回復不能な障害を被った。「弾が神経に当たっちゃたんです。足の感覚はあるんだけど、動かせません。今までに4回手術を受けて、これからまだ3回手術の予定があります・・・。また歩けるようになれるかは分かりません。」

15歳の「カリム」は、6月か7月にホムスの自宅を離れる前、友人と一緒に、自由シリア軍のために木に登って偵察していたと話していた。「僕はよく森に行って、現場の状況を見るためにそこに隠れてました。僕たちはそうやって自由シリア軍を助けてたんです。」

国際法は、敵対行為に直接参加する最低年齢を18歳と定めている。国際刑事裁判所(ICC)の設立を規定したローマ規程の下では、武装部隊或いは勢力が15歳未満の児童を徴集或いは入隊させること、又は「敵対行為に積極的に参加させるために」使用することは、戦争犯罪である。この規定の正式な解釈によれば、「敵対行為に積極的に参加させる」とは、児童の戦闘への直接参加だけではなく、偵察・スパイ・破壊工作のような戦闘に関係した活動、そして児童をオトリ・密使・軍事検問所要員として使用することも対象としている。さらに「敵対行為に積極的に参加させる」ことの禁止は、前線に物資を運ぶことなど、補助機能に「直接」子どもを使用することも含む。

国連の「シリア情勢に関する調査委員会」(Commission of Inquiry on Syria)は8月に報告書を発表し、そこで「18歳未満の子どもが反政府武装勢力のために戦闘や補助的役割を担っている、という複数の情報に懸念を抱いている」と表明していた。更に「委員会は、戦闘に子どもを使用しないという自由シリア軍の方針を打ち出したという確約を、リアド・アルアサド大佐から受けた。しかしその方針を、自由シリア軍及び反政府武装勢力が一様に順守していないことを示す証拠がある」と付け加えていた。

「例え子どもが闘いに志願してきた時でも、指揮官は帰らせて子どもを守る責任がある」と前出のモタパルスィ調査員は語る。「子どもが年長の親族や友人に影響されるのは簡単だが、武装勢力の敵対行為に参加すれば、殺害される・回復不能な障害を負う・非常に深い心の傷を負うなどの重大な危険に子どもをさらしてしまう。」

反政府勢力に資金や武器を提供している国々は、実践戦闘員であろうと補助的役割であろうと、18歳未満の者を軍事目的で使用することを禁止するよう、自由シリア軍に強く求めるべきである。

シリア周辺各国に逃れている難民の子どもたちが、徴兵され易く、又敵対行為に参加し易い状況におかれていることを、ヒューマン・ライツ・ウォッチは明らかにした。シリア人難民に対する3度の集団聞き取り調査の際、休暇中の自由シリア軍戦闘員を含む年長男性たちは、グループ内の子どもに、どの軍を支援するのか質問したり、子どもが武器を携行している様子や自由シリア軍の集会でスローガンを叫ぶ様子を映した写真やビデオを、ヒューマン・ライツ・ウォッチに見せている。難民に聞き取り調査をしていた際のことだが、ヒューマン・ライツ・ウォッチは複数の男性が、武装勢力に入るよう勧誘しているのを、最近2度目撃している。ヒューマン・ライツ・ウォッチはまた、自由シリア軍部隊のフェイスブックページや、元少年戦闘員を「殉死者」或いは殉死することを望んでいると話す子どもを特集したユーチューブに投稿されているビデオも精査している。

「複数の男性が少年たちに、自由シリア軍を支援し、戦闘に参加するよう強く勧めているのを、我々は目撃している」と前出のモタパルスィ調査員は語る。「反政府武装勢力と共に闘っている家族がいたり、或いは、家族が政府軍部隊に殺害されている場合は特に、武器を取って一矢報いるという圧力を感じやすい。子どもであっても、そうした圧力の中にいる。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチの聞き取り調査に応じた、反政府武装勢力で軍務についたことのある少年たちは、シリア国民の中でもとりわけ社会的に弱い立場のコミュニティ出身だった。聞き取り調査に応じた少年5人のうち3人は、字を読めず、自由シリア軍の活動に参加する前はフルタイムで働いていたと話していた。自由シリア軍に入隊した時に、学校に通っていた者はおらず、表向き学校に通っていることになっている者も、地域の学校が閉鎖されたり、危険すぎると家族が考えたりしたために、通学を止めていた。

シリア国外でヒューマン・ライツ・ウォッチの聞き取り調査に応じた少年のなかには、家族のうちの女性や少女を安全な所に移動させるためにシリアを離れただけで、帰国するつもりだと話していた子どもたちもいた。マジドによれば、属していた部隊から年齢を理由に除隊させられたが、ヨルダンに来たのは女性の家族を車で送るためだけだそうだ。彼は別の部隊に入隊するために、ある友人と一緒にダラーに行くつもりで、「違うところに行けば、そこで[自由シリア軍は受け入れてくれる]何とかなる」と話していた。

ハイザムとカシムも、シリアに帰って闘い続けるつもりだと話していた。カシムは「[僕の部隊は]武器が足りないんです。もっと武器があるって電話が掛かってくるのを待ってるんで、そうしたら帰るつもりです」と話し、足を負傷したラエドも、自分と兄とでトルコにある難民キャンプまで家族を送り届けに行くが、その後シリアに帰って、足を撃たれるまで一緒に活動していた自由シリア軍に合流すると話していた。

ヨルダンでシリア人難民支援をしている国際団体のある代表は「自由シリア軍は[ザアタリ]難民キャンプまでやって来て、他の者がシリアで闘っているのに、難民キャンプに逃げているなんて容認できない、と宣伝している」と述べていた。シリア人難民はヨルダンの受け入れ側コミュニティの学校に通うのを許されているし、難民キャンプ内にも学校が設立されてはいるが、受け入れスペースは限られたままの状況が続いている。

「比較的年のいった多くの子どもたちが、学校に通わないという選択をしている。彼らはシリア国内で2年近くも学校に通わず、学校に行く意味を感じないと話している。難民支援の人道援助団体は、キャンプやコミュニティの中での徴兵を防ぐと共に、全ての子どもが教育を受けられるよう努力しなくては」とモタパルスィ調査員は指摘する。