Egyptian Christians clash with soldiers and riot police during a protest against an attack on a church in southern Egypt, in Cairo on October 9, 2011.

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(ニューヨーク)-2011年10月9日にカイロでキリスト教徒の一派コプト教の住民と、国軍などが衝突し、25人が死亡。これに対してエジプト軍当局が捜査を行うと発表した。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、徹底的かつ公平な捜査が早急に必要だと述べた。

特に、少なくとも17人のコプト教徒が軍の装甲車に引き殺されたと見られる事件を重点的な捜査対象とするべきであり、暴動での軍と警察の役割も調査しなければならない、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。デモは、上エジプトにある複数の教会が襲撃された事件への当局の対応の遅れに抗議するものだった。伝えられるところによると、私服姿の人物たちがデモ参加者に投石し、棒で襲撃したのをきっかけに、これが暴動に発展した。

本捜査は、軍検察官ではなく、中立な司法当局が担当することが必要である。軍司令部は、3月の拷問事件と、デモ参加者1人が死亡した4月の過度の武力使用に関しても未だに捜査を行っていない。

「エジプト軍は、2月以降幾度もデモ活動に対して過度な有形力/武力を使用している。10月9日の衝突では、多くの死者が出た。コプト教徒の一層の保護と、本件についての法の裁きにむけた徹底した捜査が急務であることが明らかである」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチの中東局長代理ジョー・ストークは語っている。

10月9日のデモ参加者の大多数を構成していたキリスト教一派のコプト教徒らは、コプト教徒とコプト教会への一連の攻撃を捜査せず責任者を訴追もしない、政府当局の対応の遅れに怒りを募らせていた。今回のデモも、9月30日に南部アスワン県上エジプトのマル・ギルギスにある教会の襲撃事件について、捜査が行われないことへの抗議のため行われたものであった。

カイロの人権活動家 ホッサム・バーガト氏とのインタビュー

ボガート氏は、2010年のアリソン・デフォージュ人権活動家賞受賞者。

背景 

2011年3月4日、カイロの南21キロにあるアツフィフ町で、暴徒1人がトゥー・マーティアーズ教会を襲撃、放火の上、大きな損害を与えた。この事件は、イスラム教徒の女性とコプト教徒の男性の関係のもつれから起きたと言われている。3月8日に、カイロ東部ムカタム郊外の住宅地のコプト教徒が、アツフィフ町の放火事件に抗議するためデモを行ったところ、イスラム教徒の反デモ勢力と衝突。その後の暴動で、21人が死亡、コプト教徒の複数の家屋や店舗が放火の被害に遭った。検察官によるこの事件の捜査はいまだに終了せず、事件は裁判所に送られてもいない。5月には、カイロのインババ居住区にあるコプト派教会の外で起きた暴動により12人が死亡している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、エジプト政府当局に対して、一連の襲撃事件に対して徹底的な捜査を行うとともに、加害者の責任を問うことを強く求めた。また、エジプト当局は、5月に公約した通り、宗教上の差別の厳重な禁止を執行すると共に、コプト教徒に対する信仰の自由権の完全行使を認める新しい法律を早急に発布するべきである。