(エルサレム)-イスラエル軍によるガザ攻撃勃発から今日で1年が経過。しかし、イスラエル政府もハマスも、戦争法に違反し残虐行為をした責任者たちを処罰していない、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。イスラエル政府によるガザ地区封鎖が続くなか、破壊された学校や家、基本的インフラなどの復興作業はままならず、その結果、ガザの人びとは今も人道援助に頼らざるをえない状況のままだ。

2008年12月27日、イスラエル軍は、ガザからイスラエルへ発射されるロケット弾攻撃を止めるというのを公式の目的として、ガザ地区に対する軍事作戦「キャスト・レッド(Cast Lead)」を22日間展開。

パレスチナ武装組織によるイスラエルの民間人居住区をねらったロケット弾攻撃は、ペースこそ落ちているものの、止まってはいない。

「1年が経過したが、イスラエル政府もハマスも、戦闘の際、重大な国際法違反行為を行った者たちを処罰せず、放置したままだ」とヒューマン・ライツ・ウォッチの非常事態担当上級調査員フレッド・アブラハムは語った。「ロケット弾攻撃も一部続いている。そして、イスラエル政府のガザ封鎖ゆえに、基本的な復興作業さえも進んでいない。ガザ地区には、絶望と自暴自棄だけが渦巻いている。」

イスラエルの人権団体ベツレム(B'Tselem)の調査によると、1年前のガザ侵攻の結果犠牲となったパレスチナの民間人は762名。一方、イスラエル軍(IDF)は、犠牲になったパレスチナの民間人は295名だけだとしている。一方、戦闘の間にガザから発射されたロケット弾によって犠牲となったイスラエルの民間人は3名。そのほか、数十名が負傷した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、1年前のガザ攻撃の際にイスラエル軍が行った重大な戦争法違反を調査。合計29名の民間人を殺害した無人航空機によるミサイル攻撃や、白旗を掲げた民間人12名が殺害された事件、人口密集地帯に対する白リン弾攻撃など、調査報告書をとりまとて公表した。

のみならず、イスラエル軍は、正当な軍事目標もないのに、家屋や農地・工場・ガザの給水及び衛生設備網など、多数の民間財産を意図的に破壊。破壊された民間施設のほとんどは、今も、修繕されていない。

一方、ハマスなどのパレスチナ武装組織は、戦闘中、ロケット弾を何百発もイスラエル国内の民間人居住区に打ち込んだ。また、ハマスは、この紛争の陰に隠れて、ガザ内の政治的ライバルやハマスに批判的な人を粛正。暗殺や、拷問、恣意的な拘禁を行った。

今年9月、国連のガザ紛争に関する事実調査団は、イスラエル軍もハマスも重大な戦争法違反行為をおこなったと結論付けた。そして、その行為の一部は、戦争犯罪を構成するほか、人道に対する罪に該当する可能性もあると認定した。国連調査団の報告書は、両当事者とも、適切で公平な捜査を行っていない、としている。国連人権理事会及び国連総会は、この国連報告書を承認済である。

イスラエル政府が、これまでに、ガザ侵攻中の行為をもって処罰した兵士はひとりだけ。しかも、この軍曹の罪は、クレジットカード窃盗。同人は、懲役7ヶ月半を科された。一方、戦闘中の戦争法違反や人権侵害に対して、ハマスが何らかの捜査を開始したという情報にヒューマン・ライツ・ウォッチは接していない。

イスラエル政府は、ガザ地区封鎖を続けており、ガザの民間人が必要としてる機材・物資・燃料の搬入を制限し続けている。その結果、ガザ地区の復興は進まず、再建は行き詰まったままだ。ガザ地区への搬入物資(若しくはガザ地区から搬出される物資)に対するイスラエルによる検閲は、治安維持目的に限られるべきであり、生活必需品や民間人のための必要な物資の搬入を妨げるべきではない、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

1年前のガザ侵攻で、家屋3450戸、工場・倉庫268棟、加えて学校・車両・井戸・公共インフラ・温室や広大な農業用地など、極めて広範囲が破壊された。

国連は、戦闘の結果およそ60万トンのコンクリートが瓦礫になったと発表。しかし、イスラエルが、今年にはいってガザ地区への搬入を許可した復興資材は、合計トラック41台分に過ぎない。つまり、月平均トラックたった4台分。一方、2007年に封鎖が始まる前の5ヶ月間にガザ地区に搬入された建設用資材は、平均して月に7,400台分だった。

国連は、破壊された自宅の瓦礫の横にテントや仮設の避難所を立てて生活している人々は今も162家族に上り、さらに、何千もの家族が、ガラスの壊れた自宅で冬を耐え忍んでいる、と述べた。ガザ地区の住民の大多数は、週32時間にわたることもある停電生活を余儀なくされているほか、4万人を超える人々が電気なしで生活している。

「1年たっても、ガザ地区のほとんどの住民は、ガザ侵攻前の生活を取り戻すことができず、苦闘している」とアブラハムは語った。