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ビルマ:国軍、国境付近の住宅を焼き討ち

衛星写真とデータ解析により、ロヒンギャの村落62カ村の被害が明らかに

Smoke is seen rising from Burma’s Taung Pyo Let War village from across the border in Bangladesh.   © 2017 Private

(ダッカ)― ビルマ国軍はバングラデシュ国境付近のロヒンギャが住む村落に意図的に火を放っていると、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。住民を強制移動させてから放火を行うというこうしたやり方は、ビルマ・ラカイン州のロヒンギャ・ムスリム住民に対して国軍が行う民族浄化作戦の中心をなすと見られる。

ヒューマン・ライツ・ウォッチが今回公開した衛星写真とセンサーのデータは、2017年8月25日から9月14日にかけて、ラカイン州北部の62カ村が放火の標的になったことを示している。ヒューマン・ライツ・ウォッチは高解像度の衛星写真に基づき、35カ村で広範な家屋の焼失があったことを、またそれ以外にも26カ村で、環境衛星搭載のセンサーによりほぼリアルタイムで火災が検出されたことをそれぞれ確認した。

「私たちの現地調査結果は、衛星画像が示す内容を補うものだ。ラカイン州北部でロヒンギャが住む村での家屋の大量焼失について、直接の責任はビルマ国軍にある」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長代理フィル・ロバートソンは述べた。「国連と加盟国は直ちに措置をとり、ビルマ政府にこうした虐殺を止め、ロヒンギャがビルマから強制的に追い立てられる現状を変えるよう求めるべきだ。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは広範な建造物破壊があった35カ村のうち6カ村について、建物被害を詳しく調査し、ほぼすべての事例で建物が全壊に近いことを確認した。破壊された建物の数は合計で948棟だった。

9月13日午前、ヒューマン・ライツ・ウォッチは国境のバングラデシュ側で、国境のビルマ側にある、ロヒンギャが住むマウンドー郡タウンピョーレットヤー村から、分厚く黒い煙が大きな雲となって上がっているのを確認した。村を見渡す位置からの撮影が確認されたビデオ映像には、無人となった村で複数の建物が燃えている様子と、数百メートル先に暗い色のトラックが数台停まっているところが映っていた。国境で足止めされている村人は、この車両を村にかつて入ったことのある「軍用トラック」と説明した。丘から火災の様子を眺めた住民たちは、煙は建物に放たれた火から上がっていると述べた。

タウンピョーレットヤー村から逃れたファティマさん(50)はヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、村から煙が上がっているのを見たので、自宅が燃えているかを確認しようと丘に上ったという。一番高いところまで来ると、自宅が高い煙に覆われているのが見えた。近くの家もやはり燃えていたという。ファティマさんは、ビルマ軍兵士を乗せたトラックが村に入ってきた8月31日に脱出した。兵士たちが銃を手にトラックから飛び降り、ファティマさんを脅したため、そこから数百メートル走り、バングラデシュ国境付近の「緩衝地帯」に駆け込んだ。「兵士たちが見えたので、私たちはとにかく村から走って逃げました。何百人もです。子どもを連れてくるので精一杯でした。」

モハメド・サヘドさん(50)も同じ丘を駆け上がった。自分のトラック2台と乗用車1台が自宅前で燃えているのを見たと話す。自宅も火に包まれていた。村で少なくとも兵士4人を見かけたという。息子のモハメド・シュフィさん(24)によると、この日の朝早く、シュフィさんは2人の村人とビルマ側に戻り、国境の一時キャンプで使う調理用の薪を持って帰ろうとそれぞれの自宅に向かった。しかし村からまだ数百メートルは離れたところでビルマ軍兵士5~6人に発見され、パチンコで大きな石を投げつけられたという。3人は走って国境のバングラデシュ側に戻り、身を隠した。

A screen grab of a video shows two dark-colored Burmese military trucks within several hundred meters of a burning village. © 2017 Private

この週の前半に、ヒューマン・ライツ・ウォッチはタウンピョーレットヤー村から600メートル以内を哨戒するビルマ軍兵士を視認している。ロヒンギャ難民も国境のフェンスから数メートル以内の場所、またこの村から数百メートル以内のところをビルマ軍兵士少なくとも40人がほぼ毎日哨戒するのを目撃している。国境では複数から、ビルマ国境警備警察隊の詰所がタウンピョーレットヤー村から200メートル以内に置かれており、8月31日以降、ビルマ軍は村の住居を占拠し、詰所を使っているとの証言があった。

衛星は9月11日と13日に多数の火災を検知した。マウンドー郡内の別の地域にある村が新たな破壊の標的となっていることがうかがわれる。厚い雲に覆われていることを考えると、マウンドー、ブーティーダウン、ラテーダウン3郡で火災の被害を受けた村の数は実際にはかなり多いことは間違いない。グテーレス国連事務総長とザイド国連人権高等弁務官は、ビルマ国軍の行動が民族浄化にあたると表明している。ビルマ政府の一連の発表は、こうした結論を支持するように思われる。ゾーテー政府報道官はマスコミに対し、国軍の「掃討作戦」が標的とした471カ村のうち、176カ村はすでに無人で、加えて少なくとも34カ村が部分的に無人となったと述べた。

ビルマ国軍によるラカイン州北部の軍事作戦は、アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)が8月25日に警察署や検問所、政府施設、軍施設など30カ所以上に対して行った一連の武装襲撃を受けたものだ。ビルマ政府は、ラカイン州全土の建物に火をつけたのはロヒンギャ武装勢力と住民だと主張するが、論拠を示すことはできていない。

国際法に「民族浄化」の正式な定義はないが、国連の専門家委員会は1994年にこの単語を「ある民族または宗教集団が、暴力的で恐怖を惹起する手段を用いて、別の民族または宗教集団を一定の地域から排除する意図的な政策」と定義し、「その目的は追放された単数または複数の集団の排除による領域の占有にあると思われる」と記している。

「ビルマ軍の車両と兵士が、火事の煙が上がるロヒンギャの住む村で目撃されていることは、破壊の様子を伝える圧倒的な衛星画像ではとらえきれないいくつかの事柄を補っている」と、前出のロバートソン局長代理は述べた。「関係国には、ビルマのミンアウンフライン上級大将など国軍幹部に対し、虐殺停止と責任者の追及に向けた行動を直ちに行わなければ、きわめて重大な犯罪に連座することになりかねない、とのメッセージを伝えることが求められているのである。」

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