At Heavenly Ministries Spiritual Revival and Healing Center, some people with presumed mental disabilities lived in buildings with cubicles for each resident and were chained to walls. They could not leave the cubicles without permission of the staff at the prayer camp.

© 2011 Shantha Rau Barriga/Human Rights Watch

(アクラ)-ガーナの精神科施設や精神治療施設で、精神障がい者が重大な人権侵害に苦しんでいる、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書内で述べた。ガーナ政府は、このような人権問題と闘うための対応をしておらず、また、国際法で認められた権利に基づき精神障がい者が社会で生活できるようにするための対応もほとんど行っていない。

報告書「死刑判決のよう:ガーナでの精神障がい者に対する人権侵害」(全84ページ)は、ガーナの精神障がい者数千人が、(多くの場合自らの意思に反し)障がい者施設に隔離拘禁され、異議申立をする可能性もほとんどないまま生活を強いられている実態を詳述している。精神科病院は不衛生な過密状態にあり、しかも、一般には「礼拝キャンプ」と呼ばれている一部の精神治療施設では、治療を受けることも許されないまま、焼けつく太陽の下で木に鎖で繋がれ、「治癒過程」の一環として数週間の絶食を強いられるなどしている。

本報告書は、地域社会内で生活する精神障がい者たちが、社会的烙印を押されて差別にさらされており、シェルターや食糧、医療保健が不十分なことも多い実態を浮き彫りにしている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのフィンバーグ・フェローであるメディ・スセングーバは、「ガーナ政府は、施設や『礼拝キャンプ』、そして地域社会で生活する精神障がい者に対する人権侵害をなくすために、直ちに対策を講じる必要がある」と述べる。「ガーナで生きる多くの精神障がい者をとりまく環境は、非人道的で個人の尊厳を損なうものだ。」

本報告書は、ガーナの公立精神科病院3カ所、「礼拝キャンプ」8カ所、地域社会で生活する精神障がい者、その家族、保健医療関係者、「礼拝キャンプ」運営者や職員、政府当局者、ガーナで活動する地元団体と国際団体のスタッフなど、170人以上への聞き取り調査に基づいている。

世界保健機構(WHO)の推計では、ガーナには精神障がい者が300万人近くおり、内60万人は重度精神障がい者だ。

アクラ(Accra)、パンタン(Pantang)、アンカフル(Ankaful)にあるガーナの3つの公立精神病院は、約千人の精神障がい者を収容しているとみられるが、この3施設すべてが不潔な状態で、一部の病棟では悪臭が漂い、下水設備が壊れて床の上に汚物が散らばっていた。アクラの病院は極度の過密状態で、多くの患者が一日中、日陰さえほとんどないような病院外の灼熱の太陽の下で過ごしていた。

少なくとも数百人、もしくは数千人に上る可能性もある精神障がい者が、ペンテコステ派教会関係の「礼拝キャンプ」に収容されている事実を、ヒューマン・ライツ・ウォッチは明らかにした。自らを「預言者」と名乗る人びとが運営するこれらのキャンプは、完全に政府のコントロール外にある。そこに収容された精神障がい者は何の治療も受けておらず、医師に処方された治療をも禁止するキャンプもある。その代り預言者が、奇跡、「天使の指示」、精神治療で住民を「治療」しようとしている。

本報告書は、「礼拝キャンプ」は精神科施設よりも更に劣悪な環境であることを明らかにした。調査した8カ所の「礼拝キャンプ」において、入居者ほぼ全員が敷地内の野外で足首を鎖で木に繋がれ、そこで眠り、小便や大便をし、入浴していた。中には5カ月もの間「礼拝キャンプ」に収容されている者もいた。キャンプにいる精神障がい者(10歳未満の子どももいた)は、「治癒過程」の一環として、定期的に数週間にもわたる断食を強いられる。通常は、水さえも絶つ36時間の断食(ドライ・ファスティングと呼ばれる)で始まる。

ドリス・アッピアーは「礼拝キャンプ」と精神科病院で合計10年以上を過ごし、現在は地域社会に戻って生活している。「礼拝キャンプ」にいる間、彼女は縄で2カ月以上縛られ、舌に副作用を起こす有害な地元産の薬草を摂取するよう強制された。

「精神障がいを持った途端に大半の権利をなくすのよ。自分の意見を言うことさえも」とアッピア―はヒューマン・ライツ・ウォッチに話した。「精神障がい者ができるだけ身近なところで公的サービスが受けられるようにすると共に、『礼拝キャンプ』に収容されている人たちを人権侵害から守るためにキャンプを監視するよう、私たちは政府に求めているわ。」

ガーナは2012年7月に障がい者権利条約を批准した。同条約のもと各国は、精神障がい者が居住地の選択や誰と住むのかなど、自身についての重要な生活上の決定ができるよう措置を講じなければならず、障がい者は施設内で生活するよう強制されてはならない。

2012年6月に発効したガーナ精神医療保健法は、障がい者が精神科病院に収容されることに対して異議申立をできる手続きを備えている。しかしながら同法は、「礼拝キャンプ」には適用されないため、入所者には解放を求める法的救済措置がない。「礼拝キャンプ」入居者のほとんどは、「治癒した」と預言者が判断するまで出所できない。

新精神医療保健法は、精神科病院への強制入院・治療を認めると共に、精神障がい者本人の意思決定権を制限する後見人制度を促進している。精神障がい者本人の意思決定を支援すべきところ、ガーナ政府は反対の施策を取っているというべきであり、障がい者権利条約にも矛盾する。

精神障がい者が社会の中で生活できるよう、住居や保健医療などの地域レベルの基礎的な社会サービスを政府は整備せねばならない。「礼拝キャンプ」を含む精神障がい者収容・治療施設は、慎重に規制すべきだ。またガーナ政府は、人びとがこうした施設や精神科病院に強制力をもって収容されることのないよう、並びに権利侵害に対して異議申立をする制度へアクセスできるよう保証するべきである。

「ガーナ政府は障がい者権利条約を批准した点では称賛に値する」と前出のスセングーバは述べる。「ただし、精神障がい者施策もその施行にも、真の改革が今求められている。」