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グローバル:ヒューマン・ライツ・ウォッチが人権活動家7人を表彰

2011年「アリソン・デ・フォージュ人権活動家賞 」受賞者 発表

(ニューヨーク)-たゆまぬ活動を続ける勇敢な人権活動家7人に対し、名誉ある「アリソン・デ・フォージュ人権活動家賞」を授与する予定である、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは発表した。この7人はそれぞれエジプト、インドネシア、イラン、メキシコ、ロシア、チュニジア、ジンバブエの出身で、暴力、差別、抑圧のない世界を創るために、活動を続けている。

本賞はアリソン・デ・フォージュ博士にちなんで命名された。博士は約20年にわたってヒューマン・ライツ・ウォッチのアフリカ局シニア・アドバイザーを務めていたが、2009年2月12日にニューヨークでの飛行機事故により非業の死を遂げた。デ・フォージュ博士はルワンダの人権状況、そして同国で起きた1994年の大虐殺およびその後の情勢に関する世界的な権威だった。ヒューマン・ライツ・ウォッチが毎年授与する本賞は、博士が行った人権活動への傑出した尽力に敬意を表し、命をかけて人間の尊厳と権利の保護に奮闘した個人の勇気を称える。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのエグゼクティブ・ディレクターであるケネス・ロスは「アラブの春が進行中の国はもちろん、その他の多くの地域でも明確に意見を述べた人びとが脅威にさらされている。この7人の人権活動家はそのような地で素晴らしい勇気と粘り強さを発揮してきた人ばかりである。私たちは7人の強さと活動に敬意を表すと共に、この表彰が7人が変えようとしている抑圧的状況への国際的な認識を増すことを願っている」と述べる。

2011年「アリソン・デ・フォージュ人権活動家賞」の受賞者は以下の7人

Defenderホッサム・バーガト氏、「個人の権利のためのエジプト・イニシアティブ」のエグゼクティブ・ディレクターであり2011年1月のエジプト蜂起以前から現在も著名な発言者であり続けている。

 

 

Defenderシヘム・ベンセドリン女史、チュジア人ジャーナリスト兼「メディア監視アラブ・ワーキング・グループ(Arab Working Group for Media Monitoring)」代表でありチュニジア自由国民会議のスポークス・パーソン

 

 

Defenderアニス・ヒダヤ女史、数百万人の出稼ぎ労働者の権利のために活動するインドネシア有数の団体「マイグラントケア(Migrant Care)」事務局長
 

 

 

Defenderファライ・マグウ氏、「研究開発センター(Center for Research and Development in eastern Zimbabwe)」所長であり、マランゲ・ダイアモンド採掘場での残虐行為や虐待に対し声あげ続けてきたリーダー

 

 

Defenderエレナ・ミラシナ女史、ロシアの主要な独立系新聞ノーヴァヤ・ガゼータ(Novaya Gazeta)」のジャーナリスト

 

 

 

Defenderコンスエロ・モラレス女史、メキシコの「麻薬戦争」での人権侵害を明らかにした「人権支援市民の会(Citizens in Support of Human Rights)」(本拠地モンテレー(Monterrey))の事務局長

 

 

Defenderスーザン・タマセビ女史、イラン出身の市民・女性の人権活動家で、女性の権利を支持する「百万人署名キャンペーン」の創始者の一人

 

 

こうした世界各国の人権活動家たちは、世界90カ国以上で調査を行うヒューマン・ライツ・ウォッチのスタッフにとって重要なパートナーである。「アリソン・デ・フォージュ人権活動家賞」受賞者は、アムステルダム、ベイルート、シカゴ、ジュネーブ、ハンブルグ、ロンドン、ロサンゼルス、ミュンヘン、ニューヨーク、オスロ、パリ、サンフランシスコ、サンタバーバラ、トロント、チューリッヒで開催される「2010年ヒューマン・ライツ・ウォッチ アニュアル・ディナー」で、その栄誉が称えられる。

ホッサム・バーガト氏、エジプト出身
 ホッサム・バーガト氏は、エジプトでわき起こった2011年の1月と2月の革命の最前線で、革命中そしてその後も続く暴力を調査し記録し続けている。彼はまた、宗教の自由とプライバシー権をまもる活動を続け、持続的な制度改革促進とより人権を順守する新生エジプト建設に向けた活動を強力に推進し続けている。この歴史的な時期、バーガト氏が率いるNGO「個人の権利のためのエジプト・イニシアティブ(Egyptian Initiative for Personal Rights)」の活動は、エジプトにおいてかつてない程に重要な位置を占めている。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、すべてのエジプト人の個人的自由を擁護する活動を行ってきたバーガト氏に敬意を表します。

シヘム・ベンセドリン女史、チュニジア出身
 ジャーナリストで活動家であるシヘム・ベンセドリン氏は、チュニジアでの人権侵害を暴き表現の自由を守るために20年以上活動してきた。彼女は「チュニジア自由国民会議(National Council for Liberties in Tunisia)」「報道・出版・創作の自由の監視所(Observatory for Freedom of the Press, Publishing, and Creation)」、そして独立系ニュース・ウェブサイトとラジオ局である「カリマ(Kalima)」の共同設立者でもある。最近倒れたベンアリ(Ben Ali)政権から、投獄や暴行などの継続的な嫌がらせに遭いながらも、ベンセドリン女史の人権保護に尽力する一貫した姿勢は揺らぐことがなかった。ベンセドリン女史の勇気、そしてチュニジアにおける人権侵害を明らかにし、人権状況の改善に向けて歩みを進める粘り強い姿勢に対し、ヒューマン・ライツ・ウォッチは敬意を表します。

アニス・ヒダヤー女史、インドネシア出身
 アニス・ヒダヤー女史はジャカルタの「マイグラント・ケア(Migrant Care)」の事務局長であり、家族を養うために外国で職を求め人権侵害の重大な危険にさらされている何百万ものインドネシア人女性や男性に代わって積極的に発言を続けている。「マイグラント・ケア」とヒューマン・ライツ・ウォッチが共に記録してきているように、マレーシア、サウジアラビア、クウェートではインドネシア人家庭内労働者が、多くの場合一日18時間、週7日間働かされている。その多くは賃金ももらえず、雇い主によって監禁され暴行やレイプを受けている人もいる。ヒダヤー女史が、インドネシア人出稼ぎ家事労働者に対する重大な人権侵害をたえず明らかにして、これを止めるための努力を続けてきたことに対し、ヒューマン・ライツ・ウォッチは敬意を表します。

ファライ・マグウ氏、ジンバブエ出身
 「ジンバブエ研究開発センター(Zimbabwe’s Center for Research and Development)」所長。ファライ・マグウ氏は、マランゲ・ダイアモンド採掘場で起っている恐ろしい人権侵害を取りまとめる徹底的な調査を行った。マグウ氏は2010年5月に、世界のダイアモンド取引を規制する機関である「キンバリー・プロセス認証制度(Kimberley Process Certification Scheme)」の監視員とマランゲでの人権侵害について会談した後に、偽りの情報を提供したという容疑で逮捕、投獄され、拷問を受けた。マランゲで横行する人権侵害を止めさせようと活動するマグウ氏の多大な勇気に対し、ヒューマン・ライツ・ウォッチは敬意を表します。

エレナ・ミラシナ女史、ロシア出身
 エレナ・ミラシナ女史は、ロシアで最も著名な独立系新聞ノーヴァヤ・ガゼータ紙の調査報道担当の有力記者として、国内の人権侵害の状況を明らかにし、政府の汚職を暴いてきた。ロシア政府は政権に批判的な人びとを力をもって沈黙させ、人権侵害を隠そうとしているが、ミラシナ女史は批判の手を緩めることなく、強制失踪や超法規的処刑、拷問などについて人びとの経験と声を発表し続けている。彼女はまた、2009年に誘拐され殺されたチェチェンの主要な人権活動家ナタリア・エステミロワ女史の殺害に対する独立した調査で積極的な役割を果たしている。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、深刻な問題を抱えるロシアの人権状況に勇気を持って立ち向かうミラシナ女史に敬意を表します。

コンスエロ・モラレス女史、メキシコ出身
 コンスエロ・モラレス氏は、メキシコで人権侵害の被害者を擁護し、人権侵害を行った個人の責任を問う活動をしている。治安部隊は民間人に対し拷問、レイプ、「失踪」などの人権侵害を広く行っているが、これらの犯罪は事実上全く捜査されていない。脅迫が続く中、モラレス氏の団体は、これらの人権侵害を記録し、主な事件で訴訟を起こし、治安部隊と暴力的な麻薬組織の双方の犠牲者にとって極めて重要な支援を提供するため、ヌエボレオン(Nuevo Leon)州での活動を率いてきた。メキシコでの不処罰問題を終わらせ、「麻薬戦争」による人権侵害の犠牲者を支援するモラレス女史の勇気ある活動に対し、ヒューマン・ライツ・ウォッチは敬意を表します。

スーザン・タマセビ女史、イラン出身
 スーザン・タマセビ女史は、イランで、差別的な法律が女性の人権を侵害している実態について、広く市民の認識を高めた。リーダーシップと平和構築に関する研修を行うと共に、性差別的な法律の撤廃を求める「百万人署名キャンペーン」の設立を支援。同キャンペーンは賞も受賞している。タマセビ女史はその活動のために、治安部隊の嫌がらせの対象となり、海外渡航を禁止されるなどした。イランで市民社会を促進させると共に、女性の権利問題に全国的な注目を集めたタマセビ女史の勇敢な取り組みに対し、ヒューマン・ライツ・ウォッチは敬意を表します。

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