(ベイルート)-ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2010年12月1日、ベイルート委員会 (コミッティ) を設立した。本委員会は、レバノン国内の人権問題に関するアドボカシーはもちろん、世界各地の重要な人権問題についてのアドボカシーを強化する動きの一環として設立された。

ベイルートで開催されたチャリティディナーに出席したヒューマン・ライツ・ウォッチの国際理事ハッサン・エルマスリー (Hassan Elmasry) は、「ヒューマン・ライツ・ウォッチのベイルート委員会のメンバーには、人権への関心を高めると同時に、レバノン社会のトップリーダーに影響を与えられる、献身的かつ影響力のあるレバノンのリーダーたちが顔をそろえている」と語る。「ベイルート委員会のメンバーは全員、すべての人が人権を享有でき、より正義と安全が尊ばれるレバノン、そして世界を作るというビジョンを共有している。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチには、ベイルート以外にも、すでに世界各地の18都市に委員会が存在しており、ベイルート委員会は19番目にして中東初の委員会となる。これら世界各地の委員会は、地域はもちろん世界全体で人権への関心を高め、すべての人が基本的自由を享受できるよう世論や政府に働きかけてきた。

新しいベイルート委員会の創設メンバーは、法律・経済・慈善事業・学術などの各分野で目覚しい業績をあげているチャディア・エル・ミウチ (Chadia El Meouchi) 氏、アリ・ガンドウル(Ali Ghandour) 氏、モハメド・アレム (Mohamed Alem) 氏、ファローク・ジャベル(Farouk Jaber) 氏、ポール・サレム (Paul Salem)氏である。

ベイルート委員会の設立は、中東初のHRW年次チャリティディナー「Voices for Justice」で発表された。同ディナーはベイルートのLinda Sursock Villa で開催され、ヒューマン・ライツ・ウォッチの国際理事らが出席しただけでなく、ロンドン、チューリヒ、ニューヨーク、リヤド、ハンブルグ、ジュネーブ、シカゴ、ミュンヘンからもヒューマン・ライツ・ウォッチの委員会メンバーたちがかけつけ、このディナーに集まった多数のレバノン人サポーターたちを迎えた。このレバノンのディナーは、ジャーナリストのマルセル・ガネム (Marcel Ghanem)氏による、レバノンでの人権確立を希求する熱のこもったスピーチで幕を開けた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのレバノンでの活動は1990年代に端を発する。2006年以来ベイルートにスタッフを配置し、2006年1月のレバノン紛争の際の民間人への攻撃の調査・報告において大きな役割を果たすとともに、クラスター爆弾禁止条約の採択に向けたロビー活動を成功に導いた。2008年からは、海外から出稼ぎのためにレバノンやってきた家事労働者が直面する人権侵害を調査・報告し、市民の関心を高めると同時に、労働者の権利促進にむけた強力なアドボカシー (政策提言) キャンペーンを展開してきた。加えて、ヒューマン・ライツ・ウォッチは、レバノンに逃れてきたパレスチナ難民やイラク難民が置かれている窮状や、拘禁施設での虐待や拷問についての長年の疑惑を調査する必要性にも光を当ててきた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのベイルートディレクターのナディム・アウリーは「新たに設立されたベイルート委員会は、我々のメッセージを強化するだけではない。人権を支持する中東の人びとの声を世界に届け、世界中すべての人の人権が尊重される世界をつくるというミッションの実現に大きく貢献するであろう」と述べる。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、世界約90ヶ国で、国際人権法・難民法・人道法の違反をモニターし、調査・報告する活動を行っている。最近発表された調査報告には、例えば、キルギスタン南部での民族対立、エジプトでの国政選挙における不正問題、チベットにおける弾圧問題、欧州多国籍企業による米国内での労働者の権利侵害、インドでのレイプ被害者に対する"指による検査"の実態、などがある。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、国連や欧州連合諸国をはじめ、世界の各国で政府高官と面会し、政策及び運用の改革を求めてきている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、世界各地の個人や財団からの寄付により運営されている。政府資金は、直接間接を問わず受け取らない。