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中国:天安門事件の癒されない傷

天安門事件から20年が経過 しかし、検閲と天安門事件の生存者や政権批判者への迫害は続く

(ニューヨーク)-1989年6月3日から4日にかけて及びその前後に、中国人民解放軍は、北京などの中国の都市で、厖大な数の非武装の民間人を殺害した。この事件から20年が経過したが、中国政府は、この天安門事件の生存者、その家族、また天安門事件の政府公式見解に異論を唱える者に対し、人権侵害を続けている、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日、天安門事件が今も中国社会に落とす影について分析した報告書「天安門の残したもの」と、弾圧20周年マルチメディア映像を公表した。

中国共産党は当初、流血の弾圧における自らの行為を、「反革命事件」への必要な対応として正当化したが、後に「政治的混乱」との位置付けに変えた。

「天安門事件に関する歴史を検閲し、反対意見を潰し、事件の生存者に嫌がらせをし続けるという中国政府の行動は、過去数十年の中国における驚異的な経済・社会発展と、あからさまな対比をなしている」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア・アドボカシー・ディレクター ソフィー・リチャードソンは述べた。「20年間に及ぶ否定と弾圧は、天安門事件の傷を癒すのではなく、化膿させてきただけであることを中国政府は認識するべきだ。」

中国政府は、常に、殺害された人、「失踪」させられた人、投獄された人の氏名を公表することを拒否し、検証可能な犠牲者数を公表しないできている。

犠牲になった学生と民間人の母親と両親が作った団体「天安門事件母の会(Tiananmen Mothers)」は、軍によって殺害された民間人150名以上の名簿を作成した。また、政府は、1989年6月に関する公の議論を一貫して全て潰し、また、デモに参加した者や事件についての政府の公式見解に公けに疑義を呈する者を訴追してきた。

今日、劉暁波(Liu Xiaobo)の拘禁は、1989年の抗議運動に関与した人々やそのほか様々な政権批判グループに対する政府の敵意の最も明確なシンボルとなっている。中国で最も有名な政権に批判的な知識人のひとりである劉氏は、天安門事件の学生を支援した容疑で刑務所に2年服役。また、劉氏は、6月4日早朝、軍と交渉して天安門広場に最後まで残っていた学生の避難を成功させ、更なる流血を防いだ。国際メディアや学者からの6月4日に関するインタビューに日常的に応じていた劉氏は、何度も一党制度に公然と疑問を投げかけたため、さらに、1996年から1999年までの3年間、労働を通しての再教育刑に処せられ、その後は一種の自宅軟禁状態におかれている。2008年12月8日、劉氏は、民主主義と法の支配を求める公開申立書 「08憲章(Charter '08)」の動きを組織した者のひとりとの容疑で、再び逮捕された。

08憲章の中には、中国共産党による権力独占によって引き起こされた「人権の大惨事の長い歴史」の1例として、6月4日事件に直接言及した部分があった。激しい国際的非難にもかかわらず、起訴なきままの劉氏の拘禁が続いている。

「劉暁波氏は、平和的な政権批判、とくにとりわけ天安門事件に対して、中国政府がいつも鎮圧をもって対応してきたことの象徴だ」とリチャードソンは述べた。「同時に、劉氏は、逆境に直面しながらも真実・正義・民主主義を求めて闘う一部の中国国民の不断の粘り強さと勇気の象徴でもある。」

1989年4月から、労働者や学生などの人びとが北京の天安門広場やその他の都市に集まり始めた。大部分の人びとは、複数政党制を要求し、平和的なデモを行っていた。抗議運動が解散されないまま5月下旬を迎え、中国政府は戒厳令を宣言。そして殺傷能力のある武力・武器を行使して街頭の抗議運動を除去するよう、軍に対して認可した。その命令を実行する過程で、軍は厖大な数(犠牲者数は公開されていない)の非武装の民間人に対して発砲、殺害した。犠牲となった民間人の多くは、抗議運動に関与していない者だった。北京では、軍が街に侵攻するに際し、民間人の一部が軍の車列を襲撃し、車両を焼いた。民間人の殺害の後、中国政府は全国一斉取締り・弾圧を敢行。「反革命」容疑及び放火や社会秩序混乱などの刑事犯罪容疑で、何千人もの人びとを逮捕した。

中国政府は、抗議運動への弾圧について世界中からの非難にさらされた。武器禁輸などの制裁措置を課した国も数カ国あった(欧州連合の武器禁輸は現在も続く)。中国政府は、1989年6月事件の再調査を求めるあらゆる動きを拒絶してきた。

1990年、江沢民国家主席(当時)は、国際社会からの天安門虐殺事件に対する非難を、「空騒ぎ」とはねつけた。2001年1月、朱邦造(Zhu Bangzao)外務報道官は、1989年6月に丸腰の民間人に対して、殺傷能力のある武器を使用した事について、「・・・時機を得た断固とした手段が・・・国家の安定と発展に対して大いに必要・・・」と述べた。

「中国政府は、人々が、自国の現代史の重要事件について知ることを事実上不可能にしてきた」とリチャードソンは述べた。「こうした事実は、中国政府の情報操作や責任回避の能力について、世界中で深刻な懸念を引き起こすものだ。」

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