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香港は政治問題で大きく揺れています。香港「中環」(セントラル)ではこの2日間、民主派のデモ隊が完全装備の機動隊と正面から対峙しています。香港に「高度な自治」を約束した条約を尊重しない、との態度を中国政府が示すなかで、不穏な静けさが続いていましたが、それは打ち破られました。

整然と集まり、民主主義と透明性の利点を論じ、汚職への懸念と政治的権利の喪失を不安視する大勢の学生達をとらえた写真のなかには、1989年春の北京を不気味に思い出させるものもあります。しかし香港の人びとは、あのときとはまったく別の結果が訪れることを願っています。きわめて単純に、香港人が、香港特別行政区にかかわる決定の大部分に引き続き関与できるよう求めているのです。 

今回の運動は、香港の首長である行政長官の公選制を求めるものです。中国政府は、中央政府に批判的な民主派や大衆派の政治家が、香港では常に最も人気を集めるため、その実施を拒んでいます。デモ隊には梁振英・現長官の即時辞任を求める声も出る一方で、選挙制度と政治制度の改革という当初の要求を守る人びともいます。

しかし、デモ隊に催涙ガスや催涙スプレーを用いる機動隊の不快な写真や、17歳の民主派活動家・黃之鋒(ジョシュア・ウォン)氏が警察によって2日間拘束されていることからは、当局の今後の対応や事態の趨勢はかなり不透明です。中国政府の明確な方針はわかりません。しかし中央政府がこうした大衆的な圧力に屈するとは考えにくいです。

現在中国政府は、民主派の香港特別行政区長官の選出という予測を、まだ害の少ないものとして受け入れておくべきだった、と考えているかもしれません。しかし今や争点は、はるかに巨大なものになってしまいました。中国政府は全土の国民に対し、大規模デモを行えば政治的妥協が引き出せることを示す用意があるのかどうかが問われています。その実現はおそらく考えられません。

事態はまだ大きく動いていません。デモ隊が引く様子もありません。警察が実力行使を抑制し、公共の秩序に実際には危害を加えないデモ隊の拘束を控えるかどうかが、今後の事態の大きな鍵を握っています。しかしたとえそれが実現したとしても、おそらく今後何らかの事態が、香港で、大陸で、またそれ以外の地域で、長期にわたり様々なかたちで生じるでしょう。 

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