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日本:人権保護のためにより明確な声を

ヒューマン・ライツ・ウォッチがアジアの人権問題を中心に取り扱う東京オフィスを開設

(東京)-日本の政府、国会そして官僚たちは、アジアをはじめとする世界中の人権の保護・促進のため、より一層強力にそして明確に発言すべきである、とヒューマン・ライツ・ウォッチは、本日、ヒューマン・ライツ・ウォッチ東京オフィス開設に関する記者会見で語った。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは麻生太郎首相に宛てた書簡を公表し、ビルマ軍事政権に対して、政治囚釈放、自由・公正な選挙の施行、蔓延する拷問をやめること、少数民族に対する攻撃の中止を働きかけるよう、日本政府に強く求めた。

「大国に対し、人権侵害の犠牲者を保護するために、大国の影響力を行使するよう説得するのは、人権の保護を実現するために私たちがとる最も重要な方法のひとつだ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのエグゼクティブ・ディレクター、ケネス・ロスは、東京事務所開設に際して述べた。「世界の中の大国で、かつ世界で有数の援助提供国でもある日本政府は、人権の促進のため、一層大きな役割を担うことができる。我々が新たに東京事務所を開設したのは、日本政府が持つ人権保護のための潜在的な力を発揮するのをサポートするためだ」

日本政府は、北朝鮮での人権侵害については明確に発言をすることが多いものの、それ以外の国の人権侵害については、「静かな外交」で対応する傾向がある、とヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

「日本政府が人権保護を促進し、国際的にも人権促進のために努力をする国として高く評価されるようになるためには、非公開の場での静かな外交とともに、公に声をあげる外交も行うことが必要である」とロスは述べた。

「例えば、スリランカで現在進行中の人道危機のように、日本政府が危機に瀕する人びとを救うための大きな力を持つ立場にいる場合でも、日本政府は、声をあげずに過ごしてしまうことが多い。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、80カ国以上で活動し、隠された人権侵害を世界に知らせるほか、人権を保護し促進する政策をとるよう各国政府に働きかけている。アジアでは、日本政府が二国間援助額で最大の援助国となっているビルマ・スリランカ・カンボジア・フィリピン・ベトナムなどの国でおきている人権侵害について、世界中の人々の意識を喚起するために活動している。

「東京オフィスを通じ、日本政府が、とりわけアジアにおける人権保護を実現するためにより一層積極的なサポートを行う国となるよう、様々な方法で貢献していきたい」とロスは述べた。「ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査員たちが世界中で収集した正確で詳細かつ公平な人権情報は、日本政府が人権侵害を解決するための政策を立案する際や、時機を逃さずに効果的な手段をとるため、きっと役に立つであろう」

ヒューマン・ライツ・ウォッチはニューヨークに本部を置くが、ロンドン、ブリュッセル、ワシントンDC、パリ、ヨハネスブルク、モスクワなど、世界各地に事務所を有している。独立性と不偏性を維持するため、いかなる政府からも、資金提供を受けない。

「東京オフィスの開設は、ヒューマン・ライツ・ウォッチはアジア全域での人権促進に全力で取り組む、というコミットメントを示すもの。この重要な活動を支援して下さる日本の皆さんが、私どもの活動にご参加くだされば幸いだ」とロスは述べた。

「ヒューマン・ライツ・ウォッチは、日本政府が人権促進のために持つ影響力を行使する国になるよう、私たちの調査結果を日本のマスコミや日本の市民に提供させていただくつもりだ」とロスは語った。「日本政府からの多額の援助を受け取っている国々でおきている人権侵害に関する情報は、日本国民そして日本政府が、各国に対する援助計画を審査する際に、役立つであろう」ともロスは述べた。

日本の著名な方々19名が発起人となって、4月9日、東京で、新しい事務所の開設を祝うディナーが開催されることとなっている。

東京オフィス開設記念ディナーの発起人は、藤田実氏、グレン・S・フクシマ氏、橘・フクシマ・咲江氏、出井伸之氏、伊藤穣一氏、川本裕子氏、金城亜紀氏、黒川清氏、キャシー・松井氏、松本大氏、クリシェン・メタ氏、宮崎誠氏、大河原愛子氏、ティエリー・ポルテ氏、渋澤健氏、芹澤ゆう氏、谷家衛氏、山本公哉氏、横山禎徳氏の全19名。

同ディナーの主賓は、ビルマの元政治囚で、ビルマ政治囚支援協会(AAPPB)の創設者のひとりでもある、2008年ヒューマン・ライツ・ウォッチの人権アワードの受賞者ボーチー氏。

麻生太郎総理大臣あてのヒューマン・ライツ・ウォッチの書簡はこちら:

英語/English: https://www.hrw.org/node/82223

日本語/Japanese:
https://www.hrw.org/node/82231

皆様のあたたかなご支援で、世界各地の人権を守る活動を続けることができます。