政策提言 /勧告
アントニオ ・ グテーレス難民高等弁務官による 3月7日から12日のビルマ訪問を受けて、「ラカイン(アラカン)州北部の現在の活動レベルが実際のニーズに合致しておらず、事業の改善をただちに行うための決定がなされた」ことが合意された。この新たなプログラムは、アラカン州北西部のロヒンギャ帰還民と現地住民を支援することを目的とし、特に保健、教育、水、衛生、農業およびインフラ整備に重点を置いている [40] 。オーストラリア政府は、ビルマ国内のロヒンギャに対して 320万ドルの支援を約束した。
これは重要な第一歩だ。しかし主要な責任はビルマ軍政にある。大きな前進がもたらされるためには、ビルマ政府がロヒンギャへの迫害を停止する必要がある。
ビルマ政府が政策とその実務を変更することは、ロヒンギャの大量流出を抑制し、アンダマン海を渡る危険な航海(洋上では嵐、食糧や水の不足に苦しめられ、人身売買業者の被害に遭っている)を終わらせるための鍵である。だが他方で、ビルマ以外の各国も難民、庇護希望者、移住労働者および無国籍者の処遇を定めた国際法の規定を順守する必要がある。ヒューマン ・ ライツ ・ ウォッチは特に以下の勧告を行う。
ビルマ政府に対して
- 出生、居住または血統など、他民族と同様のビルマとの真正かつ実効的なつながりの基準に基づき、ロヒンギャ民族に属する人びとを、即座に国民として認定するか、あるいは、国籍を付与すること。そして、国際法およびビルマ国内法に基づき、ロヒンギャを国民として平等に扱うこと
- ロヒンギャに対し、ビルマ全土での移動の自由を保証すること
- 他のビルマ国民と同様に、ロヒンギャも、身分証明書を入手できるようにすること
- ビルマに帰還したロヒンギャをファミリーリストに再登録すること
- 国際連合と国際人道機関に対し、ロヒンギャに必要とされる人道支援のためのアラカン州へのアクセスを許可すること。特に、食糧安全保障と生計の確立にかかわる問題に対処できるようにすること。
- 国際メディアと人権機関に対し、ロヒンギャの人権状況を報道するため、アラカン州へのアクセスを許可すること
タイ政府、バングラデシュ政府、マレーシア政府、インド政府、インドネシア政府およびロヒンギャ庇護希望者が上陸している各国政府に対して
- ロヒンギャに対する 人権侵害 を終わらせ、ロヒンギャがビルマ国民たる十全な権利を享受できるように、ビルマ政府に強く働きかけること
- 自国の領海内で発見されたロヒンギャのボートピープルなどを、公海上へ追い返さないこと
- ロヒンギャをビルマへ強制送還しないこと。ビルマへの帰還はすべて自発的なものであるべきだ。帰還の意思を持たない、または帰還することができないロヒンギャ全員に対し、少なくとも一時的な庇護を与えること。現地社会への統合の見込みも帰還の見込みもない者については第三国定住を考慮すること
- UNHCR と人道機関に対し、ロヒンギャの緊急ニーズを満たすために必要な、完全なアクセスを与えること
- UNHCR に対し、拘束 中の ロヒンギャへの面会を許可するとともに、適切な難民認定手続を行うことを許可すること
- 1951年の難民条約および1967年の難民議定書、1954年と1961年の無国籍条約、および2000年の移住労働者条約を批准し、履行すること
- 国際的な難民の定義を国内法に組み込みむこと。そして、難民申請を行なう適正な機会を保証するとともに、難民申請手続中の庇護希望者の保護を定めている国際基準に合致した庇護手続を導入すること。居住、証明書および就労の権利を与えること
- ビルマ人が自身の送還の根拠に対して異議申出を できる 国内の庇護手続が欠如している場合は、 UNHCR が当該ロヒンギャたちについて庇護希望者か難民かを決定する審査の機会を与え られる ことなしに、ビルマ人を送還することがないようにすること
- 難民に合法的な滞在資格を与えるメカニズムを整備すること
米国、EU、オーストラリア、日本および他の関係諸国に対して
- ロヒンギャに対する虐待を終わらせ、彼らがビルマ国民たる十全な権利を享受できるように、ビルマ政府に強く働きかけること
- ビルマの近隣諸国に対し、自国領内に到達したロヒンギャを人道的に処遇するよう強く働きかけること。そして、 UNHCRなどの人道機関がロヒンギャにアクセスすることを許可するよう、強く働きかけること
- ビルマ近隣諸国の比較的貧しい政府への人道援助を拡大し、そうした国々がロヒンギャへの基礎的なニーズを提供する上でコストを負担しないようにすること
- ロヒンギャに対し、難民として再定住(第三国定住)する平等な機会を与えること
[40]“UNHCR to upgrade its mission in Myanmar,” UNHCR press release, March 12, 2009.





