恐怖に怯える沈黙

裁かれざるフィリピンの超法規的殺害

本報告書(全84ページ)は、100以上に及ぶ聞き取り調査に基づく。左翼政党党員やNGOスタッフ、ジャーナリスト、率直な発言を恐れない聖職者、反鉱山業活動家、農業改革活動家などが、殺害されたり、"失踪"している問題で、いかに政府の治安部隊がこれに関与しているかについて、詳しく記している。なお、近ごろ超法規的殺害に関与したとみられる軍関係者で、起訴された人間は現在まで一人もいない。

両親からは「アンボー」、友達からは「ランボー」という派手なニックネームで呼ばれていたレイ‐モン・グランは2006年7月30日、ソルソゴン地方にある故郷ブランにて、家族や友達と共に21歳の誕生日を祝った。アクィナス大学で政治学を学び、ちょうど2年生を終えようとしていたグランは、翌朝早く大学の近くのレガスピ市へ戻るところだった。グランの母親と父親が、荷物運びの手伝いと彼の見送りのため、バス停まで一緒に向かった。グランが席に着き、出発を待っていると、男が近づいてきて、彼の前に立ち止まった。男は45口径の銃を取り出すと、至近距離で4度グランを撃って逃げた。

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