Skip to main content

(ニューヨーク)-世界人権宣言(UDHR)60周年にあたる今年12月半ば、国連総会の場で、50を超える国々が、性的指向と性自認に基づいた人権侵害の根絶を世界に呼びかける宣言を出す。国際人権団体からなる本コアリッションは、本日、世界中のすべての国家に、人権はすべての人に適用されるという世界人権宣言の基本的誓約を確認する今回の宣言に署名するよう強く求めた。

アルゼンチン、ブラジル、クロアチア、フランス、ガボン、日本、オランダ、ノルウェーなど4大陸にまたがる国家が、本宣言の発表をコーディネートしている。この宣言文の読み上げにより、国連総会の場で初めて正式に、性的指向と性自認に基づく人権侵害に関する演説がされることとなる。

「1948年、世界各国は、人権を尊重すると約束した。しかし60年が経過した今も、多くの人々にとって、その約束はまだ実現されてはいない」と、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー(LGBT)についての60以上の団体の連合であるパン・アフリカ・ILGAの理事リンダ・ボウマン(ナミビア出身)は述べた。「今までになく多くのアフリカ諸国がこの宣言に賛同したことは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーに対する人権侵害は、いかなる場所でも決して容認できないというメッセージだ。」

宣言には拘束力はなく、すでに国際法で保護される人権について再度確認する性格のものだ。本宣言は、国連人権理事会で54カ国の賛同を得て2006年にノルウェーが発表した共同宣言を基礎に、これを発展させたもの。

「(世界人権宣言-Universal Declaration of Human Rights)のUniversal は文字通り普遍性を意味する。例外はない」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの権利プログラムのアドボカシーディレクター、ボリス・ディートリッヒ(オランダ出身)は述べた。「国連は、暴力と偏見に対して断固として反対しなければならない。人権なのだから、中途半端な対応はありえない。」

宣言案は、性的指向と性自認に基づく暴力・嫌がらせ・差別・排除・社会的汚名(スティグマ)・偏見を非難するとともに、こうした理由による殺人、処刑、拷問、恣意的逮捕、経済的・社会的・文化的権利の剥奪も非難する。

「今日に至るも未だ、何十もの国家が、同意に基づく同性愛行為を犯罪としている。植民地支配時代の法律が未だに残っているのだ」と、インターナショナル・ゲイ&レズビアン人権委員会の、グレース・プーレ(マレイシア出身)は言う。「今回の宣言は、そうした人権を侵害する時代遅れの法律はもういらないという世界的なコンセンサスが強固になりつつあることを示す。」

この宣言の基礎には、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの人権保護にむけた国連の長きにわたる活動がある。1994年のトーネン対オーストラリア事件の決定で、国連規約人権委員会(国連の主要人権条約の一つ市民的及び政治的諸権利に関する国際規約(国際人権B規約:ICCPR)の解釈を行う委員会)は、人権法は性的指向に基づく差別を禁止すると結論。以後、国連の各人権メカニズムは、性的指向と性自認に基づく殺人・拷問・レイプ・暴力・強制失踪・各生活の側面での差別などの人権侵害を非難してきた。国連の各条約機関は、各国政府に対し、法律上そして政策上の差別の撤廃を求めてきた。

欧州評議会やEUなど他の国際機関も、LGBTに対する暴力と差別に反対してきた。2008年、米州機構の全34加盟国は、性的指向と性自認も人権保護の範疇に入ることを確認する宣言を全会一致で採択した。

「ラテンアメリカ諸国政府は、平等を目指すリーダーとして、そして、この宣言の支持者として、新たな道を切り開いている」と、ILGA共同事務局長グロリア・カレアガ・ペレズ(メキシコ出身)は述べた。「今や、世界中で、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの人びとの人権をまもる運動が起きている。人びとの声は決してかき消せない。」

これまでに、55カ国がこの国連総会の宣言に署名。アルゼンチン、ブラジル、クロアチア、ガボン、ノルウェイ、アンドラ公国、アルメニア、オーストラリア、ボスニア&ヘルツェゴビナ、カナダ、ケープ・ベルデ、中央アフリカ共和国、チリ、エクアドル、グルジア、アイスランド、イスラエル、日本、リヒテンシュタイン、メキシコ、モンテネグロ、ニュージーランド、サンマリノ共和国、セルビア、スイス、前ユーゴスラビア共和国マケドニア、ウルグアイ、ベネズエラ、とEU全27加盟国が署名国である。

「この声明は、世界中の地域の政府及び市民社会から支持されている」と、ARCインターナショナル共同理事キム・バンス(カナダ出身)は述べた。「この12月、『世界人権宣言は、真にユニバーサル(普遍)だ』という簡潔なメッセージが国連総会から発信されよう。」

本声明を出した 国際人権団体のコアリッションは以下の団体からなる:
Amnesty International; ARC International; Center for Women's Global Leadership; COC Netherlands; Global Rights; Human Rights Watch; International Committee for IDAHO (the International Day Against Homophobia); International Gay and Lesbian Human Rights Commission (IGLHRC); International Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender and Intersex Association (ILGA); International Service for Human Rights; Pan Africa ILGA; and Public Services International.

皆様のあたたかなご支援で、世界各地の人権を守る活動を続けることができます。

テーマ