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テレビ番組がトランスジェンダー女性を笑いものに

トランスジェンダーの人びとへの平等な取扱いのため法改正を

The transgender pride flag.  © Wikimedia Commons

先週、日本のテレビ番組がトランスジェンダーの女性をあざけり、笑いものにした事件は、トランスジェンダーの人びとが日本で直面する厳しい現実を露呈させるものでした。日本社会のトランスジェンダーの人びとへの無理解、もの扱い。しかしこれは問題の一角に過ぎないと言えるでしょう。国の法制度までも、トランスジェンダーの人びとを二級市民扱いしているのですから。

今回問題となったテレビ山口の情報番組「週末ちぐまや家族」には、出演するタレントが、「珍しい」人々をアポなしでインタビューするコーナーがあります。先週の放送回で、タレントがトランス女性の性自認を本人の承諾なしに明らかにし、「変わっている」「珍」と表現。放送局は本人に謝罪しました。

謝罪は社会に向けた重要なメッセージであり、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー(LGBT)の活動家らの運動の結果、公共空間での原説が改善されてきたことを示しているが、その改善もこの程度というのが現実だ。社会的なスティグマを解決するためには、日本政府は国内法を改正し、トランスジェンダーの人々をすべての人と同等の立場に置くべきです。

日本では、法律上の性別の変更(戸籍上の性別変更)を望むトランスジェンダーの人びとは、2004年に施行された性同一性障害者特例法により家庭裁判所に審判を請求しなければなりません。この手続は差別的です。請求者に対し、非婚かつ20歳未満の子がおらず、精神科医から「性同一性障害」という診断を受けた上で、断種手術を課しています。こうした要件は、時代の流れに逆行する有害なものです。そして、トランスジェンダーのアイデンティティは精神医学的な状態であるという時代遅れで侮辱的な考え方に基づいており、法律上の性別認定を望むトランスジェンダーの人びとに対して、相当の時間と費用を要する、侵襲性の高い不可逆的な医療処置を義務づけているのです。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、こうした手続きを望まない数十人にインタビューしました。人びとは法の前で平等な市民として認められることをただ望んでいるのです。

2019年1月、最高裁判所は、断種要件が合憲であるとの下級審の判断を支持しました。しかし、4人の裁判官のうち2人は、事態の切実さと法改正の必要を認めています。そして「性同一性障害者の性別に関する苦痛は、性自認の多様性を包容すべき社会の側の問題でもある」との補足意見を述べました。

国連の専門家世界トランスジェンダー・ヘルス専門家協会(WPATH)も、日本政府にたいし、法律を改正し、現行の差別的な要件を撤廃するよう強く求めています。

法律を改正したからと言って、ハラスメントや差別がすべてなくなるわけではありません。しかし、日本政府が、トランスジェンダーの人びとの平等取り扱いを支持していることの示すことになるのです。

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