Chinese police photograph the crowd at the ceremonial unfolding of a giant thangka, or religious silk embroidery, during the Shoton Festival at Drepung Monastery on the outskirts of Lhasa, Tibet Autonomous Region, August 29, 2011. 

© 2011 Reuters/Jacky Chen
 
(ニューヨーク)− 中国政府当局はマフィア(黒社会)一掃キャンペーンの名の下、チベット自治区の反体制派とみなした諸団体を狙い、市民社会のイニシアチブを弾圧している、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日発表の報告書内で述べた。政府当局は現在、ラマをはじめとする地元の権威者による地域社会や家庭の紛争調停など、地域の社会活動を違法行為として取り扱っている。

報告書「違法組織:チベット系市民社会団体に対する中国政府の弾圧」(全101ページ)は、チベット系コミュニティに今も存在するラマなど伝統的指導者の影響力を、中国共産党が地方レベルで排除しようとしている試みについて詳述したもの。本報告書では、これまでほとんどなかった詳しい聞き取り調査を実施。新規制を描いた国有メディアの漫画、地域社会活動への関与で恣意的に拘禁されているチベット系住民の事案などにも焦点を当てた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの中国部長ソフィー・リチャードソンは、「中国警察および共産党の幹部は、これまでもチベット系住民の日常生活をとめどなく管理していた」と指摘する。「しかし今や、国が直接権限や承認を与えていない目的で人びとが単に集まったというだけで、当局が訴追できるようになった。」

2018年2月、チベット自治区公安局は、新に定義された「組織犯罪」の形態をリストで公表。地方レベルでは初となる禁止制度だ。現地の言語および文化の促進、環境保護のためのあらゆるイニシアチブが禁じられた。この文書は、これらの活動が亡命中であるチベット仏教の精神的指導者、ダライ・ラマ14世の支持を表すものであり、結果として転覆を目指すものとみなす。同様に、地域社会や家庭の紛争調停や福祉基金などを担う伝統的な市民社会団体も、犯罪組織とみなされている。

2012年からチベット地方の一部で、無害な社会活動を犯罪として取締り対象とする公式政策がとられていることが、本報告書の調査で明らかになった。この政策により、地域社会の活動家の拘禁および訴追が多発しており、地元の学校やその他の自助団体も閉鎖されてきた。チベット自治区チャムド市と青海省の黄南チベット族自治州の規制では、公式な承認なしに組織され、かつチベット語・文化・宗教を促進、地元の環境・野生生物保護を行う「5人以上のメンバーがいる団体」は、チベット独立を扇動、そして「外国の反中国勢力」と共謀するものとして禁止されている。

国連加盟国として、中国は、結社・平和的集会・表現の自由、地域社会における文化生活への参加権を保障する世界人権宣言の受け入れを肯定してきた。これら新たな規制は、中国がチベット地方において、こうした諸権利の体系的な侵害を強化していることを示す。中国政府、党関係者、国家治安部隊は、チベット自治区の地域社会で、独立した社会的結社の創設・活動に対する不当な介入を即時停止すべきだ。

関係各国政府および国連機関は、法の支配を尊重するとしている中国指導部に対し、表現・平和的集会・結社の自由を規制する法律および政策を、その主張と一致させるよう強く求めなければならない。また、2018年8月に国連で行われる「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際規約」の中国政府の審査においても、この点をはっきりさせる必要がある。

リチャードソン中国担当部長は、「チベット系住民の自治権と少数民族としての諸権利は尊重されていると、中国政府は繰り返し主張している」と述べる。「しかし現実は、日々の暮らしと基本的人権に対して弾圧がますます強化されている。」