Pro-democracy leaders Nathan Law (C), Joshua Wong (R), and Alex Chow meet journalists outside a court in Hong Kong, on September 21, 2016.

© 2016 Bobby Yip/Reuters

2017818日時点アップデート> 香港高等法院(高裁)は817日、3人に禁錮68ヶ月の実刑判決を下した。

(ニューヨーク) ― 香港政府は、平和的な抗議活動における役割を理由に、2016年に下された学生リーダー3人の有罪判決を取り消すべきだ、とヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。周永康(アレックス・チョウ)氏、羅冠聡(ネイサン・ロー)氏、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏に対する一審の量刑を不服とする検察側の上訴により、2017年8月17日に香港高等法院(高裁)が新たな判決を言い渡す予定だ。

香港条例は、3カ月以上の実刑判決を受けた個人による立法会(中央議会)、および区議会(地方議会)選挙への立候補を5年間禁じている

ヒューマン・ライツ・ウォッチの中国部長ソフィー・リチャードソンは、「香港当局はそもそも、これらの3人の学生リーダーを平和的な抗議活動のために訴追すべきではなかった」と指摘する。「司法機構(司法省)が実刑を求めた奇妙な控訴は、社会の秩序についてのものではない。3人を立法会から遠ざけ、将来の抗議活動を抑制するための、臆病な政治的行動である。」

2016年7月21日、香港の裁判所は公安条例のもと、周永康氏および黄之鋒氏に違法集会参加の罪、羅冠聡氏に扇動の罪で有罪判決を言い渡した。周永康氏は執行猶予付き3週間の禁固刑、黄之鋒氏と羅冠聡氏にはそれぞれ80時間と120時間の社会奉仕が科され、全員これらをすでに全うしている

10月、香港司法省は量刑の再考を求め、異例ともいえる控訴で3人の実刑を求めている。検察側は「当該事案の犯罪の性質は極めて重大」であると主張し、「被告が真の反省を示さないなか、社会奉仕の判決は原則として過ちであり、十分ではない」としている。

関連はないものの同様の事案では、2014年の抗議集会での違法性を問われて有罪判決を受けた13人の被告に対して、高裁がやはりより重い判決を言い渡している。一審で社会奉仕を科された13人は、司法省が量刑の再考を求めて控訴したのち、8〜13カ月の実刑判決を受けた。

3人の学生リーダーに対する訴追は、2014年に79日間続いた民主派による雨傘運動の発端となった平和的な座り込みで果たした主導的な役割に起因している。当時、香港当局はこれらの抗議集会を違法とみなし、公安条例違反とした。国連人権理事会はこれについて、基本的権利に対して「過剰な規制を促し」うると非難している。同条例は、30人以上の行進および50人以上の集会では、主催者が警察に届けた上で、政府から事前に「不反対通知(反対せずとの通知)」を受け取らなければならないと定めている。これは香港にも適用される「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(ICCPR)の第21条と矛盾する。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは長年、香港当局に対し、ICCPRにそって条例を改正するよう要請してきた。

社会奉仕をすでに全うしている黄之鋒氏と羅冠聡氏に新たな刑罰を科すことは、ICCPR第14条(7)に抵触する可能性がある。「何人も、それぞれの国の法律及び刑事手続きに従って既に確定的に有罪又は無罪の判決を受けた行為について再び裁判され又は処罰されることはない」と定められているからだ。

2016年11月と2017年7月、香港の裁判所は公選の民主派議員6名を失格にした。裁判所の判断は、中国の全人代常務委員会が示した2016年11月の司法解釈に基づいており、法的手続における香港基本法(憲法にあたる)を変えた。その結果、香港の半民主主義的立法会の民主派は、他の議員による動議や改正案提出を拒否する限定的権限を失った。香港政府は、空席6議席の補欠選挙を予定している。3人の学生リーダーのうち少なくとも2人は、この選挙への出馬に関心を示していた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、2014年12月に雨傘運動が最高潮に達して以来急増した、香港の民主派リーダーに対する政治的動機に基づいた訴追について、調査・検証してきた。その大半は平和的な抗議集会に参加したか、集会を主催したことが根拠となっている。ヒューマン・ライツ・ウォッチはまた、政治的理由による政党登録の遅延や却下など、野党政治家に対するその他のかたちの政府による嫌がらせも文書化している。また、習近平国家主席が2017年6月29日〜7月1日に香港を訪問した際に、特に中国本土の治安警察が民主派政策提言者たちを尾行したり、脅迫・暴行したという報告が増えた。

リチャードソン中国部長は、「香港の司法制度の中立性めぐり、人びとは自信を失いつつある」と指摘する。「当局は、香港の人権と基本的自由の長期的展望に深刻な懸念となる平和的な抗議者たちの有罪判決を取り消すべきだ。」