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ビルマ:囚人委員会をごまかしの道具にしてはならない

良心の囚人は増加 政府批判をする人びとを釈放との公約は依然守られず

(ニューヨーク)ビルマ政府が「良心の囚人問題」に対処するために再編した委員会は、いまだ獄中にある良心の囚人の事案を解決するともに、包括性と独立性、透明性を確保し、政治的動機に基づく逮捕の増加に対処しなければならないと、アムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは新委員長に宛てた本日付の公開書簡で述べた。

2015年1月に発足した「良心の囚人問題委員会」(委員数28人)は、2年前の2013年2月7日に大統領令で発足した「残存する良心の囚人検討委員会」(委員数19人)に置き換わるものだ。新委員長には副内務大臣チョーチョートゥン将軍が就任した。同省は警察、特殊部隊、矯正局を含むビルマ国軍の指揮下にある。NGO「ビルマ政治囚支援協会」(AAPPB)の代表は委員から外された。共同設立者のボーチー氏が前委員会の欠点を批判していたためであることはほぼ間違いない。

2014年に委員会は3回しか開かれなかった。国の内外でこの問題への関心が薄くなったとたんに機能を停止するのではとの懸念は的中した。

「前の委員会は、政府が批判をかわし煙幕を張るために設置した無意味なものだった。新委員会をその二の舞にしてはならない。情勢はきわめて緊迫している。総選挙までわずか数ヶ月となる一方で、非暴力の抗議行動に対する政府の弾圧は加速している」と、アムネスティ・インターナショナル アジア太平洋局長のリチャード・ベネットは述べた。「刑務所に良心の囚人はもういないとミャンマー政府は嘘をついている。だが新委員会が真の変化をもたらす可能性もある。ただし広範なマンデートと十分なリソースが与えられ、活動の独立性が保障されることが絶対条件だ。」

アムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは、新旧の法律が、非暴力活動家や人権活動家を逮捕するため当局に頻繁に利用されているとの懸念を長年抱いてきた。刑法の条文、平和的集会及び平和的行進法、緊急事態法、国家秘密法などが該当する。その規定がきわめて漠然かつ曖昧なため、法が行きすぎたかたちで差別的に適用される事態を招いている。これらの法律が国際人権基準に沿わない限り、個人に保障された権利を非暴力的に行使しただけで拘束されるビルマの現状は変わらない。政治的動機に基づき逮捕、起訴される人の数は昨年明らかに増加している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチとアムネスティ・インターナショナルはまた、かつての良心の囚人に対し、政府が移動の自由や就業、教育、雇用を制限するなどの嫌がらせを行っていることにも深く憂慮する。

両団体は新委員長に対し、現在も獄中にある良心の囚人の事案すべてを解決するとの公約を改めて確認するよう求めた。具体的には次の通りだ。恣意的拘束や不当な訴追をもたらす欠陥のある法律の廃止を議論すること、委員会の委員に囚人支援組織のメンバーを必ず加えること、刑務所と刑務所関連資料への完全なアクセスを確保すること、定期的に会合を開くこと、委員会の活動の透明性を確保することである。

「表面的な改革を施した委員会から、代表的な政治囚支援組織が排除されている。主要な人権問題の一つをめぐり、社会と真剣に関われとの圧力を政府が十分に感じていない現状を強く警告する事態だ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムスは述べた。「テインセイン政権は、政権に批判的な人びとについて、基本的権利の行使を理由に逮捕するのではなく、その意見に耳を傾けなければならない。」

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