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香港:非暴力のデモ参加者を釈放し、過剰な武力行使を避けよ

中国政府は反政府デモを認め、真の改革に着手すべき

(ニューヨーク)香港では民主化デモが続いている。当局は過剰な強制力の行使を避けるべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。2014年9月27日から29日にかけての非暴力デモに参加して逮捕され、現在も拘束されている人びとについて、当局は全員を釈放すべきである。

警察は暴動鎮圧用の装備を身につけ、催涙スプレー、催涙ガス、警棒を用い、数日にわたって非暴力の抗議行動参加者を逮捕している。このことは、現在香港特別行政区で行われているデモへの香港政府と中国政府の対応に深刻な懸念を生じさせる。

「梁振英・香港特別行政区長官は、香港の評判を汚さず非暴力デモを容認すべきだ。大陸のように不寛容で臨むべきではない」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのソフィー・リチャードソン中国部長は述べた。「香港は法の支配、個人の自由を尊重することで知られている。こうした一連の権利を、不安定な政治情勢を理由に制限することは許されない。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、デモ隊が治安や財産への明確な、あるいは差し迫った脅威となっているとは思われないこと、またデモ隊が警察を脅かしたという情報が一切ないことを踏まえ、警察による強制力の行使に懸念を表明する。デモ隊の一部が警察の阻止線を揺さぶったり、空のペットボトルを投げたりしているが、それを除けば抗議行動は依然として完全に非暴力である。催涙スプレーの使用状況を収めた、憂慮すべき動画が複数存在している。ある動画には、警察官が男性のデモ隊参加者の肩を叩き、その人が振り向いたところで至近距離から催涙スプレーを噴射する様子が映っている。別の動画には、ラジオ局の記者が記者証を提示しているにもかかわらず、警察が催涙スプレーを噴射した場面が映っている。

警察は強制力の行使に先立ち必要なすべての手段を取っていたのか、それとも催涙スプレーや催涙ガスを用いる前に、デモ隊に十分な警告や解散までの時間的猶予を与えたのかははっきりしない。ヒューマン・ライツ・ウォッチに対し、催涙ガスや催涙スプレーでの攻撃に先だって、警告など一切なかったと述べたデモ参加者らもいる。他方で警告を知らせる旗を見たという人もいた。しかし旗が上がったのは、警察が行動を取る直前だった、とのこと。このときデモ隊はパニックを起こして、後退した。デモ参加者は、混雑した場所で将棋倒しが起きるかもしれないと思ったという。デモ隊と警官隊40人ほどが軽傷を負った。

これまで香港警察は、今回よりはるかに大きなデモに対して強制力を行使することなく対応してきた。非暴力のデモ隊への強制力の行使がエスカレートしていることは、香港警察の独立性だけでなく、香港政府と中国政府の今後のデモ対応に疑問を抱かせるものだ。

大勢のデモ隊が今も目抜き通りに留まっている。9月29日朝、香港政府は機動隊の撤収を発表し、デモ隊に解散を求めた。

デモ隊の行動に警察の強制力の行使を要するものがあったとしても、国際人権基準は、それを厳格な必要性が存在する状況に限ると定めている。「法執行官による強制力及び武器の使用に関する国連基本原則」は、法執行官による強制力の行使を、その他の手段が有効でないか、意図した結果を達成する見込みがない場合にのみ認めている。強制力の行使にあたっては、法執行官はその使用について抑制的であり、違反行為の深刻度と達成される正当な目的に比例した行動をとらなければならない。香港当局は警察のデモ対応について独立調査を認め、デモには最大限抑制的に対応すべきだ。

警察は「違法な集会」と「政府施設への強制侵入」に加わったなどの容疑で、17歳の抗議運動指導者・黃之鋒(ジョシュア・ウォン)氏らデモ隊数十人を拘束した。警察は黄氏の保釈を認めず、裁判官が釈放を命じるまで40時間拘束した。裁判官は黄氏が「不当に長時間」拘束されており、拘束延長は「違法」だと述べた。黄氏の拘束中に警察は自宅を捜索。コンピュータを押収した。拘束されたデモ参加者の大半はすでに釈放されている。身柄拘束はデモ参加者の萎縮が狙いのようだ。警察は6月と7月のデモの際にも、今回と似たようなかたちでデモ隊を逮捕・釈放している。

9月26日から28日にかけての民主化デモは、香港の「公安条例」に則ったものではない。これによればデモ主催者は、30人以上のデモについては7日前に警察に届けた上で、デモ開始前に政府から「不反対通知(反対せずとの通知)」を受け取らなければならない。しかしこの規定は国際法に抵触する。国連自由権規約委員会は、この条例が集会の自由に対して「過剰な規制を促しうる」として繰り返し懸念を表明している。

「香港の抗議運動参加者は当局に対し、民主化問題で厳しく非妥協的な態度をとれば、激しい反発を呼ぶことを示すべきだ」とリチャードソン部長は述べた。「秩序と人びとの信頼を回復する最善の方法は、非暴力デモを認め、かねてからの約束通り、真の民主主義に向けた措置を講じることだ。」

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