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北朝鮮:国連が人道に対する罪を非難

安保理は「筆舌に尽くしがたい犯罪」を国際刑事裁判所に付託すべき

(ニューヨーク)— 北朝鮮の人権問題について、歴史的な国連・総会決議が採択された。これに対し、国連安全保障理事会は北朝鮮の事態を国際刑事裁判所(以下ICC)に付託することで応えるべきだ、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。2014年11月18日に国連総会の第3委員会(人権)は、国連調査委員会が今年発表した、北朝鮮の人道に対する罪の詳細に関する報告書への支持を表明。同時に同報告書について討議し、ICCへの事態の付託を討議するよう、安保理に促した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ代表のケネス・ロスは、「本日採択された国連総会決議は、北朝鮮政府の筆舌に尽くしがたい犯罪を裁判で裁く必要性をはっきり示した」と指摘する。「安保理はこれを受けて、人道に対する罪の捜査に向け、北朝鮮の事態をICCに付託すべきだ。」

北朝鮮人権決議は、賛成111️、反対19️、棄権55️で採択された。北朝鮮政府と長く友好関係にある中国とロシアは反対票を投じた。またキューバが、北朝鮮調査委の支持と安保理における討議の勧告という本決議の肝となる部分を除いた独自の決議案を提出していたが、これは賛成40️、反対77️、棄権50️で否決された。

決議は過半数の支持を得て採択されたが、ICC加盟国であるセネガル、バングラデシュ、ニカラグアなど数カ国が棄権。北朝鮮は近頃、この決議への影響を狙ったとみられる積極外交に転じ、国連北朝鮮人権状況特別報告者との初の対話を提案したり、国連人権理事会の普遍的定期的審査(UPR)に参加していた。

今年2月に発表された国連調査委による報告書は、北朝鮮における大規模な人道に対する罪を調査・検証するもので、意図的飢餓や強制労働、処刑、拷問、強かん、幼児殺害などの罪が列挙されている。その犯罪の大半は、北朝鮮の政治犯収容所制度の下で起きたものだ。全400ページにもなる報告書は、こうした人道に対する罪の大部分が「国家最高指導層の決定した政策」に従い行われてきたと結論づけている。同報告書はまた、北朝鮮におけるアカウンタビリティ(真相解明・責任追及)実現のために、ICC付託など、国際社会が行動することを勧告した。そして、北朝鮮で進行中の人権侵害が衝撃、規模、性質のすべてにおいて「近代の国際社会でほかに類がない」ものと特筆した。

北朝鮮における筆舌に尽くしがたい人権侵害に苦しむ人びとの姿に国連調査委が光を当てて以来、多くの国連加盟国がこの問題に積極的な姿勢を示すようになった。報告書には、政府の残虐行為のサバイバーや強制収容所制度からの脱出に成功した人びとの証言が多く含まれている。

北朝鮮政府の最近の外交努力は重要ではあるが、国連調査委の報告書に記載された広範な人権侵害の解決に取り組み始めたわけではない。政府は調査委の事実認定を否定し続けており、それどころか独自の人権報告書を発表。自国民が「世界でもっとも進んだ人権制度を誇りに感じている」と宣言した。

前出のロス代表は、「中国を含むいかなる安全保障理事国も、北朝鮮で多くの人びとが耐え忍んでいる恐怖を否定することはできない」と述べる。「何十年にもわたる不処罰が、世界に比類のない北朝鮮の弾圧を増大させてきた。今こそが裁きのときだ。

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