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人権ウォッチ:北朝鮮の人権問題、今こそ行動のとき

北朝鮮の悪名高い第14号管理所(強制収容所)の唯一の脱出者として知られる申東赫さんは本日、国際社会に向けて力強く雄弁にこう訴えました。「北朝鮮で自由を奪われ、いまも苦しんでいる私たちの兄弟姉妹を救ってください。」

この訴えは、ジョン・ケリー米国務長官、日韓両国の外相、新任の国連人権高等弁務官が出席したニューヨークにおける会合でのものでした。北朝鮮問題をめぐる膠着状態はようやく終わりつつあります。今回の国連総会は、北朝鮮政府に対して、自らの犯罪行為の真相を明らかにするよう迫るまたとない機会です。

これまであまりに長い間、国際社会は北朝鮮の劣悪な人権状況を見過ごしてきました。北朝鮮政府による残虐行為を疑っていたわけではありませんが、どれほどの残虐行為であるか、実態が完全には知られていなかったのです。

北朝鮮の人権状況に関する国連調査委員会は、今年前半に報告書を発表し、「現代社会にはこれに匹敵するものがない」人道に対する罪を明らかにしました。今日の会合は、この報告書発表以来開かれてきたイベントの中で最新のものです。調査委員会は勧告のなかで、国連安全保障理事会に対して、国際刑事裁判所(ICC)に北朝鮮の状況を付託するよう求めました。

驚くにはあたりませんが、北朝鮮政府は調査委員会への協力を頑なに拒みました。また国連人権理事会にて報告書内の証拠が示された際には、「余計なお世話」と述べています。

しかし国連人権理事会は、北朝鮮のこうした発言を真に受けることはありませんでした。そして3月の決議では、安全保障理事会に「適切な国際司法メカニズム」への付託を検討するよう求めました。

今後効果的な対応が行われるかどうかは、国連安保理次第です。これまで安保理は、北朝鮮の核開発問題ばかりに関心を向けていました。しかし調査委員会が報告書を発表したことで、安保理を含む国際社会が北朝鮮の人権問題を放置することは不可能になっています。

国連総会では北朝鮮に関する決議が毎年採択されています。今回の会期は、安保理に対し、北朝鮮の人権状況を取り上げるよう強く求める絶好の機会です。特にグローバル・サウス諸国の支持は、北朝鮮の主張を孤立させるとともに、同国の人権侵害の内容・規模・深刻さへの懸念がアジア諸国を超えて広がっていることを示す点で重要です。ウルグアイの外相は本日の会合に出席しました。同国はチリとパナマに続いて決議の共同提案国に名を連ねるべきです。また他のラテンアメリカやカリブ地域諸国も、この動きに続くべきでしょう。セネガルやボツワナ(両国外相は今日のブリーフィングに出席しました)といった国々にとっても、アフリカ諸国はすさまじい人権侵害について発生場所を問わず、犠牲者の側に立つという姿勢を表明するうえで重要です。

国連調査委員会の報告書によって、世界で最も深い闇の1つにようやく光があたりつつあります。北朝鮮で人権侵害に苦しむ無数の人たちが再び闇の中に戻ってしまわないよう、国連加盟国は今こそ行動すべきです。 

皆様のあたたかなご支援で、世界各地の人権を守る活動を続けることができます。

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