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ビルマ:選挙管理委員会が野党を脅迫

今後の民主化と選挙を脅かす規制案、撤回すべき

(ニューヨーク)-ビルマの選挙管理委員会は野党国民民主連盟(NLD)への脅迫や恫喝を直ちに停止すべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日述べた。委員会は今後の選挙活動を制限する規制案を撤回すべきであり、テインセイン大統領とビルマ政府は原案を正式に退けるべきだ。

2014年5月22日、連邦選挙委員会(UEC)はNLDと同党指導者アウンサンスーチー氏に対し、5月18日にマンダレーでの集会で行った演説の内容が不法かつ憲法違反であると警告した。国軍は民主改革に向けた憲法改正を恐れるべきではないという発言が問題とされた。委員会はこうした発言が2014年後半の補欠選挙(国会19議席、地方議会12議席)と2015年末の総選挙でのNLDの政党再登録を危うくするものだと発表した。NLDは6月2日に、スーチー氏の発言は憲法と政党法に則っているとのコメントを発表した。

「選挙委員会が、ありもしない規制に違反したとして政党を脅迫するなど、本当にばかげている」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア局長ブラッド・アダムズは述べた。「国の将来に関する政治家の発言にかかわる脅迫であるだけにいっそう深刻だ。」

選挙委員会は、野党への脅迫やビルマでの自由な表現を威嚇する行為をただちに停止すべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。

国民民主連盟と「平和と開かれた社会を求める88世代」が、偽りの国民投票で成立した2008年憲法の改正を求める共同キャンペーンを展開して数週間になる。両党がとくに改正を求めるのは、国軍が憲法改正に実質的拒否権を持つ436条と、外国籍の家族がいる議員は大統領になれないとした59条(f)の規定だ。この差別的な規定は、子ども2人が英国籍であるスーチー氏の立候補を阻むために制定されている。

選挙委員長で元国軍幹部のティンエイ氏は、軍寄りの姿勢を示す発言をここ数か月繰り返している。4月、氏は国会議席4分の1を現役将校に割り当てる現憲法の規定を軍のクーデター防止策として擁護した。また2015年総選挙は自由で公正に行うと約束する一方で「統制された民主主義のスタイル」で実施するとも付け加えた。過去の軍事政権を強く連想させる表現だ。

4月、選挙委員会は一連の規制案を発表した。選挙活動および言論と移動の自由への権利を大幅に規制するものだ。草案には政党指導者や党員について選挙区外での遊説を禁止する規定が存在する。スーチー氏の全国遊説を阻むねらいは明らかだ。このほか政党に対して、演説会場・デモ行進のルート・予定参加者を地方選挙委員会に事前に詳しく報告する義務を負わせる規定もある。

「選挙活動への恣意的規制と憲法改正を求める理にかなった主張に、テインセイン大統領とビルマ政府がどう応えるか。その対応次第で、政権側が自由で公正な選挙の実施に関心を持っているのか、選挙で不正をはたらこうとしているのかを世界は知ることになる」と、前出のアダムズ局長は述べた。「非民主的な規制で野党を不利な立場に置くことがあれば、今後の選挙の信頼性はゼロになるだろう。」

 

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