ハビーボッラー・ラティーフィ氏への絞首刑が12月26日に予定
2010年12月24日
ラティーフィの逮捕から勾留、有罪判決に至る状況は、イラン当局が氏の基本的権利を侵害したことを強く示唆する。過去に多数存在する治安関係の事例同様に、ラティーフィは情報部員から拷問を受けたと見られる。また裁判所は氏の有罪を示すはっきりとした証拠がないにもかかわらず死刑判決を下している。イラン司法権長官は今回の死刑執行命令を直ちに取り消すべきだ。
ジョー・ストーク、ヒューマン・ライツ・ウォッチの副中東局長

(ニューヨーク) - イラン司法権は、不公平な裁判によって有罪判決を受けたクルド人学生の死刑執行命令をすぐに取り消すべきだ、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日こう述べた。数日前、当局はハビーボッラー・ラティーフィの弁護士に対し、ラティーフィを2010年12月26日朝にコルデスターン州のサナンダジュ刑務所で絞首刑にすると通告した。

2007 年10月23日に治安部隊は、「反革命」組織のために活動したとして、イラン西部のイーラーム州にあるアーザード大学の法学部生ラティーフィを逮捕した。氏は現地の情報部員から4カ月以上拘束されて取り調べを受けた後、サナンダジュ刑務所に移送された。複数の報道によると、氏の親族や親族に近い消息筋は、ラティーフィは取り調べの過程で情報部員から拷問を受けたと話している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのジョー・ストーク副中東局長は「ラティーフィの逮捕から勾留、有罪判決に至る状況は、イラン当局が氏の基本的権利を侵害したことを強く示唆する」と述べる。「過去に多数存在する治安関係の事例同様に、ラティーフィは情報部員から拷問を受けたと見られる。また裁判所は氏の有罪を示すはっきりとした証拠がないにもかかわらず死刑判決を下している。イラン司法権長官は今回の死刑執行命令を直ちに取り消すべきだ。」

イラン政府はラティーフィに対するこの裁判で、氏がコルデスターン州の検察官の命を狙った暗殺未遂事件や警察署襲撃などいくつかのテロ行為に関与していると主張した。報道によると、裁判所はラティーフィがテロ行為に関与し、ある武装組織のメンバーであると認定したが、その証拠として挙げられたのは、氏が逮捕される前にサナンダジュ市で起きた音響爆弾の爆発に関する写真とビデオを所持したという事実だけだ。サナンダジュ革命裁判所第一支部は2008年に、ラティーフィに対し「武力による体制破壊」(モハーレベ)などの治安関係の罪で有罪を認定し、死刑判決を下した。高裁も下級審の判断を支持した。

イラン刑法186条と190~191条によれば、国家に対する武装蜂起、あるいは政府に対する武装闘争の実行を目指す組織に所属したことが認定された場合、モハーレベにより有罪とされ、死刑判決が下される可能性がある。ラティーフィは、モハーレベなど様々な治安関係の容疑で有罪とされ、死刑執行の可能性があるクルド人16人の一人だ。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、イラン治安部隊が公安事件で「自白」を引き出すために拷問などの心理的かつ身体的な強制手段をしばしば用いていること、また他方で裁判所は被告の有罪を構成する確固たる証拠を検察側が提出できない場合にはモハーレベにより有罪判決を下していることを示す事例を多数記録している。2010年5月に当局はモハーレベで有罪とされた5人の囚人を処刑したが、うち4人は少数民族クルド人だった。ヒューマン・ライツ・ウォッチは拷問や虐待が行われたこと、また裁判前と裁判中の法の適正手続きが著しくないがしろにされていることを批判した上で、死刑執行の一時停止(モラトリアム)の実施を求めた

昨年2009年には、主にクルド人地域とスィースターン・バルーチェスターン州で活動する武装組織が多数の民間人の殺害に関与した。一番最近の自爆攻撃は12月15日に南東部の都市チャーバハールで起きたもので、アシュラーと呼ばれるシーア派の宗教行事に参加する人びとが少なくとも39人死亡している。9月にはイラン北西部の西アーザルバーイジャーン州にあるクルド人住民の多い都市マハバードで爆弾が破裂し、少なくとも12人が死亡した。

「私たちは民間人を対象とした武装集団によるあらゆる攻撃を非難する」と前出のストークは述べる。「しかしイラン政府がこうした犯罪を利用して、拷問や虐待、不公正な裁判などを正当化することは許されない。」

2009年(統計が存在する最新の年)には、イラン当局は388人に死刑を執行。中国に次いで世界2位だ。2009年11月以降に少なくとも9人の反体制活動家が死刑になっているが、全員が武装集団と関係するとされ、モハーレベの罪で有罪となっている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチの死刑に対する立場は、残虐で非人道的な性質の刑罰であり、いかなる場合でも行われるべきでない、というものである。