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(ニューヨーク) 新疆ウイグル自治区で起きた抗議行動に対応するため、イタリアで開かれているG8サミットから急遽北京へ戻った中国の胡錦濤国家主席は、ウイグル族の悲惨な現実を今度こそ認めるべきだ、と本日ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。そして、主席は近日中に、今回の抗議行動やこれに対する政府の対応などについて、明らかにすべきである。

中国政府は、八百万人のウイグル族が暮らす新疆ウイグル自治区で起きている人権侵害を、これまで一度も認めていない。ヒューマン・ライツ・ウォッチは、同自治区で宗教、政治、教育、言語、そして経済の権利が著しく制限されている状況を報告してきた。

「ここ数日間、ウイグル民族と漢民族の双方が暴力行為を行なったことが、次第に明らかになってきている」、とヒューマン・ライツ・ウォッチのアジアアドボカシーディレクターソフィー・リチャードソンは述べた。「しかし、中国政府が、民族間の対立の根源には、中国政府のウイグル族に対する抑圧的政策があることを認めなければ、暴力の連鎖は止まらない。」

7月5日、ウイグル族たちは、自治区の首都ウルムチで、中国政府の虐待行為に抗議するため街へでた。抗議活動がどうして暴動に変わったのか、抗議していたウイグル族のうち何人が中国治安部隊に殺されたのか、そして何人の漢民族がウイグル族によって殺されたかなど、未だ明らかではない。中国当局は、7月6日時点で死者は156人、負傷者は800人以上と報告した。

この抗議活動以降、中国当局や政府の報道機関は、ウイグル族コミュニティーのリーダーであるラビア・カディールを、抗議の結成の責任があると非難し、ウルムチでの抗議活動に参加したものを処刑する、と述べている。中国政府が、海外からの報道関係者が自治区に残ることを許可しているのは異例で、前向きな進展である。しかし、政府は同時に、中国国内における抗議活動の情報の検閲を進めている。

2008年3月には、同様の抗議活動がチベットで起きた。このデモのあと、中国政府は、法律に従い違法な活動に対応すると約束した。しかし、その後数ヶ月で、政府は数百人を恣意的に逮捕し、何十もの事件を略式で拙速な裁判にかけ、弁護人との面会を最低限に止め、そしていくつかの平和的な活動に対し、有罪の判決を下した、とヒューマン・ライツ・ウォッチは明らかにした。その後、中国政府は取り締まりを拡大し、チベット族の拷問や失踪に関する、信憑性のある報告もされるようになった。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、中国政府が、ウイグル族の抗議者達が自ら選んだ弁護人と会い、彼らに不利な証拠を閲覧すること、そして彼らに対する判決の訴訟を許すことで、同じ間違いを犯すことを防ぐべきである、と述べた。

中国政府が、国際法で保証されているこれらの義務を守ることが出来なければ、国連人権高等弁務官事務所は、この抗議活動とその後の経過について調査を行うべきである。欧州連合、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長、ナビ・ピレー(Navi Pillay)国連人権高等弁務官、そして米国は、双方による暴動の抑制をを要求している。

「胡錦濤国家主席にとり、中国の国際的な立場を高めるだけではなく、ウイグル自治区での危機的状況を改善する重要な機会である」、とリチャードソンは述べた。「まずは、深刻な問題があると認めることが必要である。」

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